盛岡タイムス Web News 2015年  10月 17日 (土)

       

■ 平井家住宅(紫波町日詰)国重文へ 伝統と近代性が同居 審議会が答申 主屋や蔵、庭園一括指定

 

 

     
  国指定重要文化財の平井家住宅の主屋(町教委提供)  
  国指定重要文化財の平井家住宅の主屋(町教委提供)
 
     
  主屋2階の大広間(町教委提供)  
  主屋2階の大広間(町教委提供)
 

 国の文化審議会(宮田亮平会長)の文化財分科会は16日、紫波町日詰郡山駅地内にある平井家住宅を国指定重要文化財(重文)とすることを答申した。指定は6棟などの構成で、特に主屋は伝統的な建屋の平面構成に、近代的な接客機能を持つ構造が特徴。同住宅はこれまで、町や県の指定は受けておらず、遺跡などを含めた有形文化財の国指定は同町では初。

  平井家は旧奥州道中(現在の日詰商店街)、古くから地域の政治経済の中心として栄えた地域に立地した豪商。指定を受けたのは主屋と表門、米蔵、南蔵、北蔵、造り蔵の6棟と庭園を含む土地で、指定面積は約5600平方b(土地面積)。指定基準の@意匠的に優秀A流派的または地方的特色において顕著に該当している。

  現在の建物は1918(大正7)年、建て替えに着手し21年に完成した。木造2階建ての主屋は、柱を使わないトラス構造を用いた大規模な空間が特徴で、@の基準にあたる。客を迎えるため、2階に設けられた44畳(約80・26平方b)の大広間が最たるもので、21年8月には当時首相の原敬(1856〜1921)を迎えて新築披露の祝宴を開いている。

  一方、大広間以外は盛岡町家と同じような当時の商家構造を持ち、Aに該当。このほか、れんが造りの塀や蔵など近代的な建造物、伝統的な土壁の建造物も一体的に残る。土壁の米蔵、造り蔵は米の貯蔵や醸造業に使用。れんが造りの南北蔵には塗り物や瀬戸物を納めた。米の取引から始まり、蔵宿、みそやしょうゆ、清酒の醸造などを営んだ平井家の生活の名残が残っている。

  日詰の平井氏は初代六兵衛が会津から来住し、米の取引を行ったのが始まりとされる。平井家は2代目から六右衛門を名乗り、同住宅は衆院議員、貴族院議員を歴任した12代六右衛門(政治郎)のときに完成。現在は菊の司酒造(盛岡市)の平井滋社長(15代六右衛門)の所有。指定を受けた造り蔵は、同社の清酒保管場所として今も使われている。

  紫波町では平井邸と呼ばれ親しまれている、地域のシンボル的建物。一般公開を年に数回行うほか、毎年3月の紫波のひなまつり(よんりん舎主催)のメーン会場となるなど、地域活動の中心施設となっている。

  石川和広町生涯学習課長は「活用してこそ価値がある。商店街を軸とした新たなまちづくりも始まっているため、町を挙げて考えていきたい」と話した。

  平井家住宅は2004年から紫波町と関係機関が中心市街活性化の一環として断続的に調査を実施。05年には県の近代和風建築総合調査事業(2カ年)の対象として、詳細調査が行われた。同町では無形民俗文化財で山屋の田植踊、天然記念物で勝源院の逆(さかさ)ガシワが国の指定を受けている。

  県内建造物の国宝、重文は26例目となる。年内に官報告示される予定。

 


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