盛岡タイムス Web News 2015年  11月 10日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉239 及川彩子 かぼちゃ大王


     
   
     

 イタリアの晩秋の食卓と言えば、ホクホク熱々のカボチャ料理。本来、夏野菜のカボチャですが、収穫後、数カ月間追熟させたカボチャが、満を持して出回り始めます。

  イタリア語で、カボチャは「ズッカ」。最近は日本でも一般的になったズッキーニも、カボチャの仲間。「小さいズッカ」の意味で、「未熟のカボチャ」なのです。

  ここ北イタリアから中部イタリアにかけてが、カボチャの一大産地。薄切りをバターで炒め、熱々を食べるシンプルな前菜から、素揚げを、酢・砂糖に浸したマリネ、あるいは、甘く煮たペーストをイタリア式ギョーザの皮で包み、バターソースをかける「ラビオリ」、それに、カボチャジャムのケーキがあります。

  昔から、特徴ある味を自慢し合う貴族のステータスもあったことから、ラビオリは、チーズや香料、野菜など、地域ごとに特産物が練り込まれ、いろんな味に出合うことができるのです。

  市場を回ると、栗カボチャばかりでなく、ひょうたん型、きのこ型、巨大なオレンジ玉など形もさまざま。観賞用のかわいらしいカボチャも並び、目を楽しませてくれます[写真]。

  また、この時期、降霊祭ハロウィーンに欠かせないのが、カボチャをくり抜いたランタン。これを題材にしたのが、イタリアの大ヒット映画「かぼちゃ大王」です。

  舞台はローマ。てんかん持ちの少女と精神科医師の交流を描いた傑作で、少女が、実は家庭事情により心の病であることを見抜いた医師は、「ハロウィーンには、夢をかなえてくれるカボチャ大王が来ると信じ、近所のカボチャ畑にずっと座っていたんだよ」と打ち明けたことから少女と打ち解け、さらに少女の、より重症の子と交流する姿から解決を見いだします。誰にでも、幸せは平等に訪れる、とうたったこの映画は、世界的評価を受けました。

  クリスマスを目前に、身も心も温まるイタリアの晩秋です。


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