盛岡タイムス Web News 2015年  11月 23日 (月)

       

■  分子接合で技術革新 いおう化学研究所(盛岡市)に経産大臣賞(ものづくり日本大賞) 岩大発イノベーション


     
  いおう化学研究所の森邦夫社長と工藤孝廣副社長(右から)  
  いおう化学研究所の森邦夫社長と工藤孝廣副社長(右から)
 

 岩手大発のベンチャー企業いおう化学研究所(森邦夫社長、盛岡市上田)が11月、経産省の第6回ものづくり日本大賞「経済産業大臣賞」を受賞した。東芝とメイコー(神奈川県)、同社の3社で受賞。同社の新工法「分子接合技術」を用いた製品の開発、量産化が評価された。森社長が「21世紀を変える」と明言する同技術は、開発部品の少量化や製造工程の融合を可能にするという。(飯森歩)

  部品をつなぐ接合技術は、電子機器や産業機器などのものづくりにおいて重要な基盤技術とされる。複合材料の開発競争も展開する中、異種材料の接合は重要性を増している。

  一般的な接合技術には、ボルトや熱などを利用する溶接、溶融接合がある。これらは部品の表面の微細な凹凸を利用して接着するが、分子接合技術は凹凸が不要。部品内の分子を化学反応させて接着する。二つの材料を1材料にするイメージに近く、密着性や耐久性、耐熱性が非常に高い。

  同技術を用いてメイコーと共同開発したのが、デジタルカメラに内蔵されるプリント配線板。各種樹脂基板を10層以上重ねるため、接着に必要な凹凸が増して画像の伝送が損失する課題があった。

  そこで同技術を用いた「フレキシブルプリント配線板(FPC)」を開発。平滑な表面で結合させることから、凹凸による損失を改善。良質な画質や伝達スピードを確保し、動画の鮮明度が大幅に向上した。厚さも100マイクロbが70マイクロbとなり、軽量・小型化、低コスト化も果たした。

     
  分子接合技術を用いた「フレキシブルプリント配線板(FPC)」  
  分子接合技術を用いた「フレキシブルプリント配線板(FPC)」
 


  東芝の製品「トランスファージェット対応アダプタ」に同板を適用。機器から機器にデータを高速転送する装置で、転送速度は従来品の800メガヘルツから3ギガヘルツに上がった。スマートフォンから他の端末にデータ移行する場合、3分の転送時間が1秒となる。

  森社長は「0・1_以下の部品も接合可能。さまざまな分野の部品に応用できる」と技術に自信を見せる。

  しかし同技術の普及には10年以上の時間を要した。機械的なものづくりに化学分野が参入した例がなく「目に見えない化学反応に、理解と信頼を得る必要性があった」という。機械設計や環境整備などを乗り越え、ようやく製品化と量産化に至った。

  森社長は「接合が無ければ製品は作れない。つまり接合技術を制覇すれば何でもつくれる」と、同技術の可能性を示唆する。

  今後はFPC基板関連製品の市場から自動車関連、熱関連機器、機能性電極分野へとビジネスステージを広げる狙いだ。

  森社長は「5年後に売上高50億円を目指す。もの、技術、人、地域をつなぐ企業として子会社も設立させたい」と意欲を語った。


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