盛岡タイムス Web News 2015年  12月 7日 (月)

       

■  転ばぬ先にスマホあり 県立大と4大学 NTTドコモと社会実験 アプリで転倒予防体操など


     
   アプリに搭載される転倒予防体操の動画を見ながら体を動かすモニターの高齢者=6日、滝沢市第2イノベーションセンターで  
   アプリに搭載される転倒予防体操の動画を見ながら体を動かすモニターの高齢者=6日、滝沢市第2イノベーションセンターで
 

 NTTドコモと岩手県立大、桜美林大、北里大、大阪体育大の共同研究グループは、高齢者の転倒予防や暮らしの見守りにつながるスマートホンアプリの開発研究に取り組んでいる。滝沢市や同市社会福祉協議会、民間の有料老人ホームなどの協力を得て、高齢者約120人にモニターを依頼。転倒予防体操などを搭載したアプリの効果を探る社会実験を始めた。スマホなどを日常的に使いこなす高齢者は今後、確実に増える。ITを活用した高齢者の健康増進や見守りにつながる研究として注目される。

  研究グループは滝沢市巣子の同市第2イノベーションセンターで5、6の両日、社会実験のための説明会を開催。モニターとなる高齢者の体力測定や転倒の危険性を把握するための質問紙調査を実施し、スマホアプリの使い方を説明した。

  高齢者にとって「転倒」は命に関わる重大事故につながりかねない。寝たきりになったり、外出が減って人と話す機会が減るなど、生活の質の低下も招く。高齢者の元気な暮らしをサポートするツールの一つとして、スマホアプリの活用効果を検証することにした。

  実験に使われるアプリには、足腰の筋力を鍛える転倒予防体操の動画再生機能、仲間と毎日の運動回数を共有できる機能を搭載。高齢者が動画を見て体操し、仲間と励まし合いながら運動習慣を身に付けることを期待している。

  モニターは57歳から100歳までの男女。現在、自立した生活ができている人と、支援を要する虚弱の人とが半数ずつ。社会実験は、アプリを活用して運動を続けるグループと何もしないグループとに分け、3カ月後の体力や人と交わる意欲の変化などを比べる。

     
  転倒予防体操に取り組んだ回数や日を仲間と共有できるアプリの画面  
  転倒予防体操に取り組んだ回数や日を仲間と共有できるアプリの画面
 


  転倒予防体操は歌謡曲の「三百六十五歩のマーチ」に合わせ、3分間で5種類の運動を3セットする内容。手足を上げ下げしたり、しこを踏んだり、畳1枚分のスペースでできる。考案した植木章三・大阪体育大教育学部教授は「雪で外出する機会が減る北国の高齢者にとって1日1回でも体を動かす習慣は大きな効果が期待できる。スマホなどを自由に使いこなす世代が、高齢化していく中で、普及が期待できる取り組み」と話す。

  アプリには歩数計とセンサーも搭載。高齢者にスマホを常に身に着けてもらい、スマホに生じる加速度や気圧の変化など、転倒を感知するセンサーの精度を上げるためのデータも収集する。技術部門を担当するNTTドコモサービスイノベーション部の萩野浩明主査は「高齢者の普段の生活状況などから、転倒の危険性を予測できるような技術に高めていくのが究極の目標」と意欲を燃やす。

  岩手県立大社会福祉学部の小川晃子教授は「おげんき発信」など長年、一人暮らし高齢者の安否確認システムの開発研究に取り組んできた。「高齢者を支える仕組みはITだけでは意味がない。アプリを使って互いの励みにしたり、いつも運動していた仲間が、しなくなった場合に、異変に気づく支え合いの関係づくりこそ重要」と力を込める。

  社会実験の成果は、高齢者向けアプリの商品開発や見守り支援システムの改善などに生かされる。研究リーダーの芳賀博・桜美林大大学院老年学研究科長は「運動を継続していることが、外出する意欲など日常生活の自信にもつながる。スマホアプリが運動や仲間づくりのきっかけになれば、高齢者の社会参加を促すツールとして有益」と期待する。
(馬場恵)


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