盛岡タイムス Web News 2015年  12月 8日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉241 及川彩子 アコーディオンの響き


     
   
     

 わが家の次女が通う国立ベローナ音楽大学が主催する、第一次大戦開戦百周年追悼演奏会が先日、ベローナ市民墓地内の教会で行われました。「ロミオとジュリエット」の舞台で知られる古都ベローナは、ここアジアゴから車で1時間半です。

  次女は13歳ですが、イタリアでは「芸術大学に限り、年齢を問わず受験可能」なので受験、合格して、今秋から、アジアゴの中学と音大に通っているのです。

  その夜の演奏会は、歌い継がれた戦歌に、書簡記録などを交えた構成。授業の一環として次女も参加している合唱団の器楽伴奏の主軸を担ったのがアコーディオンでした。

  日本では、小学校の音楽教育で使われますが、本格的にはなじみの少ないアコーディオン。でもイタリアは、世界的に最も盛んと言われます。リード・オルガンを起源に、現在の蛇腹型に改良されたのは18世紀の北欧州ですが、ジャンルを問わずに伴奏可能な多様性と気軽さから、ギター同様に市民権を得ているのです。アジアゴにも幾つも個人教室があり、またプロ養成学部を持つ音大も少なくありません。

  日本のアコーディオン奏者と言えば、かつてNHKのど自慢の代名詞でもあった横森良造さんが思い出されます。横森さんの使用したアコーディオンがイタリア製だったことから評判を呼び、今では日本の愛好家に、そのアコーディオンが人気なのだとか。

  抱えた蛇腹を開閉させて空気を送り、鍵盤やボタン操作で奏でるアコーディオンの醍醐味(だいごみ)は、胸に抱きかかえて「息」を絞り出すように奏でること。舞台で初めて本格的演奏と共演した娘は「メロディーがせりふのようだった」と独特の魅力を感じたようでした。

  演奏しながら移動できる利点を生かし、兵士役のソリストの間を音楽でつなぐアコーディオン[写真]。家族にささげる兵士の悲しい魂、息遣いまでが伝わってくるのでした。
 


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします