盛岡タイムス Web News 2015年  12月 18日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉281 草野悟 普代へ移住


     
   
     

 鬼束拓哉君(34)。九州の宮崎から普代村へ地域おこし協力隊として移住してきました。初めての東北です。しかも三陸沿岸の小さな村へやってきました。普代村の人たちには怒られますが、この村、よそ者をなかなか受け入れないところです。まるで会津地方のようなところです。ところがこの人懐っこい笑顔で、すっかり村人の心をつかみ、信頼抜群の村民となっています。どんな仕事も一生懸命取り組む純真な心が信頼を得ました。農業復興の立場でやってきましたが、とはいえ農業は素人。師匠となったご覧の写真のご夫婦と出会ったのが最高の幸運でした。「親子みたい」というと「本当の親であってほしい」と鬼束君は答えます。

  普代村の春行さんと奥さんのセツさん。ともに76歳。とてもお元気です。鬼束君の分析は、春行お父さんは寡黙で丁寧で仕事は遅い。セツお母さんは大雑把で仕事が早くおしゃべり。正反対のご夫婦だけど、とても仲良し。セツさんの口癖は「苦労がないという人は変な人」。誰だって苦労はある、苦労が人の厚みを増してくる、と息子のような鬼束君に諭します。素晴らしいですね。ご夫婦には4男1女のお子さんがいますが、全員関東のほうで独立。代わりに鬼束君が出現したのです。ですから親子。

  鬼束君は、9月に行われた「岩手三陸わかめ王子総選挙」に立候補した普代のワカメ王子でした。農業の傍ら、豊かな普代の海で釣りをしたり漁業も手伝ったりと頑張っています。若い人たちがどんどん出ていく中、こうして震災復興のお手伝いを目標に移住してくれる若い人たちが実は各地にたくさんいます。

  岩手県の観光課総括課長の平井さんが、こうした人たちとの交流をもっと地元が率先してやろうよ、と呼び掛けてきました。もちろん大賛成です。三陸鉄道を勝手に応援する会も全面的にご協力することにしました。より多くの人たちと人脈を広げ、それが働いている場所へ還元されるなんて、とても素晴らしい取り組みです。普代村の鬼束君は、ほんの一例かもしれませんが、こうして応援に来てくれている方々に心から感謝ですね。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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