盛岡タイムス Web News 2016年  1月 4日 (月)

       

■  〈幸遊記〉照井顕 260 中村由利子のオルガンと佐藤新三郎


 佐藤新三郎さん!あけましておめでとうございます。昨年(2015)12月に、電話でお願いしたCD“天に響け”をすぐに買い求め送って頂きありがとうございました。届くと同時に何度も繰り返し聴きました。新三郎さんも、その時電話で「CDが陸前高田に届いた時、封を切って最初に買ったのは俺だった」と言っていましたので、僕も新三郎さんに頼んだ縁を大変うれしく思いました。なので、これをしたためています。

  2011年3月11日の大津波で被災した、陸前高田市立博物館所蔵海保製リードオルガンが修復され、その音色を録音したCDが完成。先行販売が陸前高田市で始まったとの新聞記事を読んだのは昨年の夏でした。オルガンは1931(昭和6)年に村上斐(あや・1887〜1969)さんが設立した私立高田幼稚園で68年に市立となるまで使用された様子で、斐さん亡き後は子息の村上三吾さん(神奈川在住)が形見として保管していたものを修復して2004年に市に寄贈されたとありました。

  15年1月から3月まで東京国立博物館で行われた特別展「3・11大津波と文化財の再生」に展示されたそのオルガンを演奏したのが、作曲家でピアニストの中村由利子さん(57才、CD“天に響け”の演奏者)で、実は彼女は前年の14年8月に陸前高田市を訪れ、旧生出小学校校舎の現市立博物館にてオルガンを弾きその音色の美しさに魅かれたらしいのです。その演奏をする際に思いをめぐらして作曲したのがタイトル曲の「天に響け」。「月の砂漠」の演奏も心に染みました。他に陸前高田ゆかりの女優・紺野美沙子の朗読。歌手・白鳥英美子の透明な歌声の讃美歌などが続くCD。収益金は被災文化財の修復保存活動に役立てられるそうですね。

  僕が中村由利子さんのデビューアルバム「風の鏡」を聴き、担当していたFMで放送し、雑誌に紹介文を書き、生演奏を盛岡大通に開店したばかりの「ブルージュ・カフェ」で聴き、そして新聞に連載していた「照井顕のプライベート・インタビュー」にも登場して頂いたのは、1987、8年の事でした。「曲や演奏には情景が浮かんできてストーリーが書けるほどこだわって、ぜいたくなくらい自由にイメージをふくらましてゆきたい」と言っていた彼女の当時の言葉が、今の新三郎さんと重なってしまいます。お元気で!今年もよろしく!
(カフェジャズ開運橋のジョニー店主)


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