盛岡タイムス Web News 2016年  1月 6日 (水)

       

■  〈口ずさむとき〉469 伊藤幸子 「神宮のおふだ」


 遠き代の安倍の童子のふるごとを猿は踊れり年の初めに
                                   折口信夫

 平成28年、丙申(ひのえさる)の年が明けた。本年は巳と午(うま)の間の丙方(ひのえかた)が恵方(あきのかた)となる。私は子どものころから「金神(こんじん)」さまに興味があった。そして良い神さまと信じていた。でものちに、金神には大金神、巡り金神などがあり、そのいずれも金気旺盛にして殺伐を司る凶神と知り、深入りしりないことにした。

  言うまでもなく「歳徳神」は一年の大吉方位で、家屋建築、普請、造作、婚礼、移転、旅行すべて吉。他にも天道、天徳、月徳、人道などの方位があり、その方位に向けては何ごとをなすにも吉であると占う。

  旧臘(きゅうろう)、ある方に神宮司庁発行の「瑞垣」を頂いた。平成27年2月28日の「遷御」の写真や川原大祓、皇大神宮摂社の厳かな雰囲気も伝わってくる。どの儀式でも目も鮮やかな真っ白い装束。「外宮奉幣月次祭」では雨の中、白い傘を掲げて長い行列が進んでいく。

  神宮のおふだについて、神宮権禰宜(ごんねぎ)さまの解説に教わる。私たちが日々手を合わせ拝んでいるおふだを神宮では「神宮大麻(たいま))」と呼ぶという。訓読みでは「おおぬさ」と読み、これはお祭りに際し神饌(しんせん、神へのお供え物)やお清め、お祓いのための道具をいうとのこと。長い歴史の中でいつの頃からかお祓い、捧げ物がご祈祷のしるしとして神札となり、各家庭でもまつられるようになったと説かれる。

  このお札が神宮大麻として全国に配られるようになったのは明治5年とのこと。武士の時代が終わり、新しい国づくりを目指す明治政府により全国の神社は国により管理されるようになった。

  さらに神宮の社頭で頂ける授与大麻は外宮(豊受大御神)でも授与され、安産や七五三詣でなどの祈りがこめられたりもする。私も平成19年10月22日、お伊勢参りをした。その折「豊受大神宮」のおふだを頂き、参拝手形を買った。今も神棚に供えてある。

  「こぞことし」、この神宮大麻を頂いたときはまだ還暦だったのかと神宮手形の鈴を振ってみる。「瑞垣」の「こぼれ話」として五十鈴川畔で発見された「十字鈴」が写真掲載されている。古墳時代に馬につけた「鈴杏葉(すずきょうよう)」とのこと。さらに天上より金鈴が五十口投げ下ろされたため五十鈴川と名付けられたともある。本居宣長記念館蔵というこの鈴を振ってみたい思いにかられる。脈々といにしえ人たちの思いをたぐりながら初旅のプランを練っている。
    (八幡平市、歌人)



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