盛岡タイムス Web News 2016年  1月 9日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 藤澤則子 先人が培ってきた知恵


 

 寒の内に入り、ショウガや大根など体を温めてくれそうな食材が恋しくなってきた。身近な食材で体調を整えたいと思うのは自然なことと思うが、その知恵は往時の人たちが長けていただろう。

  正月3日、県北の実家から足を延ばして八戸市の櫛引八幡宮を参詣した。南部藩の総鎮守として尊崇されてきた神社を詣でる前に、同市内の根城(国指定・根城の広場)に立ち寄ると「薬草園」が目に入った。

  「ウツボグサは口内炎と扁桃炎(へんとうえん)、オニユリはむくみと強心…」。この年末年始、家族が口内炎に悩まされていたこともあり、すぐにメモを取った。

  案内板には、「根城南部家が岩手県の遠野へ移封された後の様子を伝える『遠野古事記』には城の中に薬草になる植物が植えられていた記録が残されている」とあった。

  すぐ頭に浮かんだのは、現在の盛岡市中央公民館の場所にあった盛岡藩の「御薬園(おやくえん)」。次いで、昨年12月に聞いたばかりの薬剤師の畑澤昌美さんの話が思い出された。

  畑澤さんは、盛岡市内で開かれた第8回生き住き(いきいき)セミナー(駒木葬祭主催)で講演。医薬品・健康食品の話とともに、「医食同源(いしょくどうげん)。食材は生薬」と、興味深い話題を提供してくれた。

  昔からショウガ、米など普段食べているものが生薬、漢方薬などの素材として使われてきた。ドクダミは十薬(じゅうやく)と言われるほど有名。ナシなど木にできるものは体を冷やし、根菜類など土の中にできるものは体を温めるが例外はリンゴ。木になるものだが体を温めてくれるという。

  風邪を引いて寝込んだとき、家族にリンゴをすり下ろしてもらったという人は少なくないだろう。記者は小学生のころ、自身や友達が虫さされやけがで軽い出血をしたとき、カタバミの葉を患部にあてて気休めとしていた。意識せず薬草として用いていたのなら、誰から教わったことだったろうか。

  櫛引八幡宮からの帰路、同市内の店先に「南部特産」として並んでいた「干し菊」の鮮やかな彩りに、目からも精気をもらった。往時の人たちの知恵を借りながら体調を整え、新しい一年を過ごしたい。


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