盛岡タイムス Web News 2016年  1月 16日 (土)

       

■ 〈体感思観〉暖冬悲喜こもごも 戸塚航祐


 

 2016年の年末年始は、雪不足を心配する人たちの取材で過ぎ去った。

  例年は12月上旬にオープンする県内スキー場は延期、1月13日にはいわて雪まつりが49年目で初の雪像なしという事態に至った。冬の雪国の銀世界が常識ではなくなった年末年始、さまざまな人の悲喜こもごもに出会った。

  12月中旬から雪不足は徐々に深刻になった。人知の及ばぬ天を仰ぐ関係者に、書き入れ時など聞くのも心苦しい。ほとんどの関係者は快く取材を引き受けてくれたが、同じ話題の繰り返しの報道に疲れた口ぶりも感じられた。

  だからこそ年内オープンが決まったときは胸をなでおろした。取材で見たスキー場近くのゴルフ場に芝生が見えた時は、まさに地球環境に危機を感じた。「降ってほしい」という願いが通じ、滑り込みでオープンしたスキー場の安心はいかばかりだったろう。

  雪不足に悩む人々がいる一方、雪不足を歓迎する人もいる。路面凍結による交通渋滞や除雪の手間がない。雪かきがないだけで「過ごしやすい冬」と考えてしまうのは無理からぬことだ。

  しかし雪不足で困る人は少なからずいる。スキー場のほか、地域の除雪を請け負う建設業者も。例年、冬季の工事休みに自治体から除雪を請ける業者の出番がない。冬の除雪収入を見込んでいた業者にとっては計算外だ。雪不足が春に及ぼす影響を気にした人もいた。5日の盛岡中央卸売市場の取材で、ある卸売業者は「本来は春に出る野菜が2月までに出尽くして、市場に穴ができる時期があるのでは」と警戒する。 

  暖冬は、人が住む町にとって暮らしやすいが、手放しでは喜べない。雪国の人は冬の雪で地域性を養ってきた。東北特有の訛りや方言も、寒さに耐えるために口を動かさず話す知恵という見方がある。雪の中で生まれた民話や伝承、手工業も多い。

  といって雪まみれの取材は勘弁願いたいが、やはり岩手の冬らしい景色を眺めたい。


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