盛岡タイムス Web News 2016年  1月 19日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉244 及川彩子 ローマ露天風呂


     
   
     

 厳しい寒さが続く、ここイタリア暮らしの私たち家族にとってのは楽しみ、毎晩の入浴。残念ながら、近場で気軽に出かけられるスパ(温泉・銭湯)のような施設はありませんが、日本から届く入浴剤がささやかなぜいたくです。

  ローマ時代の公衆浴場を題材にした日本の人気漫画「テルマエ・ロマエ」で知られるように、古代ローマ人にとっての公衆浴場は、サウナ・プールなどの他、食堂や図書館などを完備したテーマパークでしたが、宗教倫理や文化の変遷に伴って廃れました。現在のイタリア人に、毎日の入浴の習慣はなく、週1、2回のシャワーで済ませるのです。

  「シャワー」のイタリア語は「ドッチヤ」。入浴の意味でもあり、バスタブのある家も多くはありません。20年前の家探しの際、私たちが一番の条件に上げたのがバスタブ。不動産屋さんと売り家を回りながら、真っ先に確認したほどでした。

  「トイレ」のイタリア語「バーニョ」は、「水場・濡れる」の意味。バーニョ内に、トイレとシャワー、バスタブがセットで備わっているため、バーニョを独り占めし、ゆっくり湯船で疲れを癒やすことはできません。

  一方、火山国イタリアの自慢は、2千カ所以上もあると言われる天然温泉。その施設は、時に医師の診断書が必要なサナトリウム式ですが、先日、温泉好きの友人夫婦から、珍しい天然露天風呂[写真]の情報が届き、羨望(せんぼう)の声を上げたのです。

  毎冬、キャンピングカーで温泉巡りをする友人によると、ローマ郊外やイタリア中部の山間地には、まさに野ざらしの天然露天風呂があり、通の人気を集めているとのこと。脱衣所や管理人の設備がない代わり、年中無休の24時間営業で無料。そのほとんどが、ローマ時代から湧き出ている、50度から60度の硫黄泉で、自然冷却ゆえに濃く、病みつきになるのだとか。

  歴代の法王も通い詰めたという悠久の浪漫。自然の醍醐味(だいごみ)を肌で味わう天然露天風呂に足を運ぶ価値はありそうです。


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