盛岡タイムス Web News 2016年  2月 5日 (金)

       

■  子らの成長やりがいに 障害者福祉 寄り添い、支える若手人材 みたけ学園 みたけの園少数精鋭でやりくり 福祉の現場


     
   知的障害のある子どもたちと向き合い、親身に相談に乗る菅原幸光さん  
   知的障害のある子どもたちと向き合い、親身に相談に乗る菅原幸光さん
 

 知的障害者の入所施設や児童養護施設で利用者の暮らしを支える福祉の仕事は、高齢者施設同様、慢性的な人手不足が続いている。泊まり勤務があることや仕事の内容に比して報酬が高くないことなどが原因とみられる。一方、人と直接、関わる仕事にやりがいを感じ、生き生きと働くスタッフも少なくない。福祉の職場で活躍する若手職員を取材した。
(馬場恵)

  「ただいま」「お帰りなさい」―。県社会福祉事業団(水野和彦理事長)が運営する滝沢市穴口の福祉型障害児入所施設みたけ学園。保育士の菅原幸光さん(36)は、特別支援学校などでの授業を終えて帰って来た子どもたちを笑顔で迎えた。持ち帰ったプリントを見せながら学校での出来事を報告する子、まとわりついて、しばらく離れない子も。

  「子どもたちが学校で『褒められたよ』と笑顔を見せてくれると、自分もうれしい」と菅原さん。日々、関わりを重ねる中で「言葉でなくとも、思いが通じるようになる」と優しいまなざしを向ける。

  菅原さんは同事業団の職員になって8年目。現在、勤務するみたけ学園の「かえで寮」には、中軽度の知的障害がある18歳未満の子どもたち19人が暮らす。着替え、食事、入浴、学習支援、レクリエーション、学校への送り迎えなど、担当職員が交代で24時間、子どもたちを支える。寮生活を通じ、社会の中で自立した生活を送る力を養うのが目標だ。

  泊まりの職員は朝7時に出勤。途中休憩を挟みながら翌日の午前9時まで働く。子どもたちにとって寮は家庭と同じ。朝、子どもたちの体調や気持ちを把握した職員が学校へ送り出し、帰って来たときの状態もチェックしてフォローすることが心身の安定につながる。

  日勤、遅番など勤務シフトは数種類あるため、職員間のコミュニケーションとチームワークが欠かせない。気の抜けない職場だが、子どもたちの成長に触れる喜びは大きい。

     
   利用者と笑顔で会話しながら、卵パックの整理作業に取り組む後藤咲絵さん(左から2人目)  
   利用者と笑顔で会話しながら、卵パックの整理作業に取り組む後藤咲絵さん(左から2人目)
 


  「福祉施設というとまだ閉鎖的なイメージもある。地域にも様子を知ってもらい、利用者さんの顔が見えるような開放的な所にしていきたい」と意欲を語った。

  一方、知的な障害のある18歳以上を対象にした、障害者支援施設みたけの園で働く後藤咲絵さん(29)は採用1年目。事務系の仕事から転職した。人と直接、触れ合う仕事をしたいと27歳で専門学校に入学。介護や福祉について学び、今の職場に飛び込んだ。

  工房で、知的障害のある利用者とガラス工芸に取り組んだり、施設入所者の食事や入浴の世話をしたり。「正解や終わりがなく、自分で考えながら進めていく仕事。悩むこともあるけど、楽しくて一日があっという間に過ぎていく」と明るい。

  だが、転職して半年は、感情をストレートに表現する利用者たちのパワーに圧倒されっぱなし。会話らしい会話もできなかった。殻を破るきっかけになったのは、夏祭りのステージ発表の準備。利用者と一緒に「わんこダンス」の練習に汗し、ダンスに使う小道具のうちわを手作りするうちに、少しずつ距離が縮まった。

  担当する利用者3人を連れて、レストランに行くことも。初めは「何かあったらどうしよう」と緊張したが、最近はリラックスして食事を楽しめる。机上で学んだ知識だけでは通用しない世界。むしろ、利用者から学び、教えられることが多いという。「制度や社会の動きもよく理解した上で、ゆくゆくは後進も指導できるような立場になりたい」と目を輝かせた。


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