盛岡タイムス Web News 2016年  2月 5日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉285 草野悟 金のアイナメ、銀のアイナメ


     
   
     

 昨年、大事な竿(さお)とリールを船から落としてしまいました。うっかりミスでした。通常は常識的に竿の手元に落下防止のロープをつけておくのですが、つい油断してしまいました。水深40bの海底ですので、引き揚げるのは金塊お宝さがしより難しい作業です。泣く泣く諦めました。

  それから1カ月後、再び同じ場所で釣りをしましたら、イソップ童話のようなことがありました。強烈な引きで一生懸命リールを巻き上げました。なんと2本の針に40aほどの魚が2匹。海の神様が「おまえの落としたものは、この金のアイナメか、銀のアイナメか」と聞いてきましたので、「はい、どっちもです。全部ください」と欲張って取り込んだ次第です。落としたものはリールと竿ですが、おいしいアイナメが釣れればもう満足です。

  さらに味をしめて欲張り仕掛けに替え、餌をたっぷりつけて再び投入しました。すると、グー、グイ、なんだ大物か、と思ったら根がかり。つまり海底の岩に針をひっかけてしまいました。いくら引いてもなかなか外れません。思いっきり引っ張りました。プッツーン。仕掛けはまるごと切られてしまいました。イソップ物語では、欲張るとろくなことがないぞ、という戒めの金のおの、銀のおのでした。

  釣り人は、大抵欲張りです。いくら釣っても満足しません。もっと大きいやつを、もっと数を、欲が増してきます。謙虚控え目な人は釣りには不向きなのです。三鉄の望月社長は、釣りの前日は必ず「大漁」の夢を見ます。

  この金色のアイナメは松島湾ではとても重宝がられています。婚姻色のオスですが、金色というか真っ黄色に変色します。宮城県の人は幻の魚と呼んでいます。われらが三陸の海には普通にいますので、そんなに珍しいものじゃありません、と少し自慢です。冬の産卵前の魚は脂が乗り、身が締まり、甘みを増し最高のごちそうとなります。当然この金と銀のアイナメは、刺し身と塩焼、あら汁の定番料理でしっかりとお腹に入りました。アイナメは、京料理でもよく使われます。イタリア料理やフランス料理でも珍重されます。とにかくおいしい魚の代表格ですね。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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