盛岡タイムス Web News 2016年  2月 20日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 飯森歩 雪かきにみる人の資質



 雪かき。積雪する地域では必須作業であり、作業にまつわるトラブルもまたつきものだ。雪かきは人間性や個人的感情を可視化させるため、根深い問題となる。

  例えば2年前。某県で除雪をめぐって隣人同士がもめ、暴行に及んで一人が亡くなった。口論の理由は自宅に雪を寄せられたから。積雪が少ない地域の人は「たかが雪かきで…」と思うだろう。しかしながら日々の雪かきは、けがの危険も伴う非常に重労働な作業だ。それゆえ、自分勝手な行為は一層腹立たしく感じられる。さらに雪かきは「自分さえよければいい」という自己中心的な人を如実に示す。

  作業を思い出してほしい。ずっしりと重たい雪を持ち上げ、投げる。単純作業でも、身体を繰り返し伸び縮みさせる負担は大きい。気温が上がれば水分が増して重くなるため早期対処が肝心だ。早朝、仕事に間に合うよう早々に布団から引き剥がされるつらさ。寒さの中での作業。必要資源と理解していても雪と共存する覚悟を持っていても、雪はやっかいもの≠ナある。やっかいものを自分の縄張りから追い出したいと、道路や他人の場所に追いやる人がいるというわけだ。

  また、積極的に雪かきする家(人)とずぼらな家(人)に二分される。私もずぼらな部類に入るが、職場ではそうはいかない。雪かきは企業の印象に関わるからだ。除雪で印象が左右されるのは雪国独自の感性だろう。

  そして皆が除雪作業する中、机から動かない無関心層はどの職場にもいると聞く。そうした層への不満の声を聞くたび、雪かきに対する人の評価はシビアだと感じる。

  最近、私は雪かきを人間観察の場として楽しむようになった。雪かきの方法や積極性などから性格が見てとれる。きちょうめん、大胆など普段の仕事ぶりがうかがえるのも面白い。「雪かきにみる人の資質」をテーマに本を出せないかとニヤニヤしながら作業している。骨の折れる面倒なことでも関心を持ってすれば負担が軽くなるのか。面白さを見つければ何かを見いだせるのか。そんなことを考えながら、きょうもスコップを雪に突き刺す。


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