盛岡タイムス Web News 2016年  2月 27日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 大崎真士 ヘリポート整備をめぐって


 

 県立杜陵高へのドクターヘリ・ヘリポート整備をめぐる、県と学校関係者側との摩擦。1月31日の説明会では約4時間に及んで平行線をたどった。

  今月19日に再び開かれると、人命救助と生徒や教育環境を守る対応とを共存させることへ参加者の賛意が広がった。一気に事態は収束へ傾いた。もちろん抵抗感や懸念を表明する関係者も根強くいた。

  約半月で何が起きたのか。きっと、県が保護者らに理解してもらう努力をした成果なのだろう。好意的に解釈すれば。

  同時に「一刻を争う人命救助に対応するヘリポート整備を、まさか誰も反対しないだろう」と、高をくくっていなかったか。人命を「錦の御旗」に、上から目線が見え隠れして、最初の説明会で反発を招いたと受け取れる。

  そもそも保護者ら学校関係者が整備候補地だと知ったのは、ほぼ決定へと動き始めた年明け前後。候補地選定はそれ以前、3年以上前から始まっていた。1回目の説明会で県が学校に口止めしていたとの発言も飛び出し、後回しにされたことが知れ渡った。

  2度目の説明会。学校敷地内ではないが、隣の青森県で県立高校と特別支援学校そばをドクヘリが通過する事例が紹介された。

  県は防音対策などを改めて示し、引き続き学校側の声を丁寧に聞くと約束。自主的に挙手した参加者からは懸念や抵抗感が示された。県から指名された保護者からは敷地内整備を容認する声が出た。積極的に受け入れるべきと歓迎する意向まであった。

  人命が大事だと思わない人はいない。「だから理解・協力してください」とヘリポート予定地の関係者が異口同音に納得するというのは、虫が良すぎる。

  相手の優先事項や利害を把握し、自分たちが実現させたい計画や事業を納得してもらうに足る説明や情報を提供する。それが賛同を得る道だ。県は今回、それらを初動で怠ったように見える。少なくとも最初の説明会での混乱は避けられただろう。

  東日本大震災津波から間もなく5年。県は被災者一人ひとりに寄り添った仕事をしてきたはずだ。なぜ、ヘリポート整備については当初それができなかったのか。県民一人ひとりに寄り添う行政を改めて徹底してもらいたい。


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