盛岡タイムス Web News 2016年  3月 9日 (水)

       

■  東日本大震災5年目の検証(下) 女性目線生かし地域に協力 内陸防災は今 盛岡市婦人防火クラブ連


     
  手作りの紙芝居で子どもたちの啓発に取り組む長岡会長(右)と大畑副会長  
  手作りの紙芝居で子どもたちの啓発に取り組む長岡会長(右)と大畑副会長
 

 「協力体制を取れるのが私たち」。盛岡市婦人防火クラブ連合会の長岡武子会長は防災訓練や学校での啓発事業などを通じて女性の目線から地域を支える。3年前から子どもが一人で家にいる場合に取るべき行動を紙芝居にして、年齢や学年に応じた読み聞かせをしている。東日本大震災津波後に起きた豪雨や林野火災の経験も踏まえ、地域や学校、関係機関団体をつなぐ幅広い活動が自分たちの役割だと考える。(大崎真士)

  ■即興で読み聞かせ

  紙芝居は、冊子「長谷川祐子の生き抜く力を育てるリスクウォッチ」(日本防火協会、2011年3月)が原案。13年7月に著者で在日米海軍司令部地域統合消防隊予防課長の経歴を持つ長谷川さんが盛岡市内で講演したのを機に長岡さんが娘に作成を依頼した。

  冊子はもともと日米の防犯・防火比較が主体。それをアレンジして布を振ったり、音を出して助けを呼ぶ方法、非常時持ち出し品の用意など子どもが一人で家にいる場合の対応がスケッチブック10枚に描かれた。

  クラブのメンバーが対象の年齢、学年に合わせて即興で読み聞かせる。まずは落ち着き、必ず確認してから行動することを伝える。家族で話し合う大切さも強調する。

  大畑京子クラブ連副会長は地元の杜陵地区などで児童に読み聞かせた。「小さい時からの意識付けが大事。大きくなって、いきなり言われても浸透しない」と主張する。

  ■訓練経験が生きる

  14年4月に玉山区内で起きた林野火災。クラブ連に、おにぎり300個の炊き出し要請が届いた。長岡会長は人数の確保から米などの材料や炊飯器の調達など、7、8人で役割分担して対応した。日中仕事を持つメンバーも多いためだ。

  防災訓練などではアルファ米の試食を勧めたり、炊き出しの啓発に取り組んでいる。実際の災害は勝手が違った。メンバーが顔の見える関係だったから、お膳立てのない中で機動力を発揮できた。

  「何もないところから始めるのを初めて経験した。段取りの決まった訓練を経験してきたからできたので、想定のある訓練をするのは間違っていない」。

  震災津波の起きる約4カ月前、地元・大通の町内会で子どもから大人まで参加した避難所体験訓練をした経験を思い出す。3・11の大地震で慌てなくて済んだ記憶と重なる。

  「今度は水なし、電気なしなど『なしなし』の生活体験をしてみたい。きっとトイレが一番困るから」。アイデアが膨らむ。

  ■地域つなぐ接着剤

  クラブ連は玉山区を除いて市内に24クラブあり、会員数は15年4月時点で総勢6927人いる。クラブには、各地域で町内会や学校、防災関係機関などをつなぐ接着剤の役割がある。

  盛岡市内では震災後、訓練や地域行事へ住民も積極的に顔を出していた。5年が経過し、参加者数は年々減っている。子どもが小学校を卒業すると地域行事に姿を見せないファミリーも少なくない。

  大畑副会長は「学校はトップの意識で関わりが変わる。せっかく熱心だったのにトップが交代したらつながりが立ち消えにならないか懸念される。地域でも何か楽しいものとタイアップすれば参加人数が増えるのでは」と考えをめぐらす。

  長岡会長は「地域の中でコミュニケーションを図るのが大事。そして町内会からは『摩擦熱』を起こすなよ、と言われる。摩擦熱でも(住民同士で)火事は起きる」と話し、地域の中で人をつなぐ自分たちの役割に思いを新たにする。


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