盛岡タイムス Web News 2016年  3月 9日 (水)

       

■  〈日々つれづれ〉316 三浦勲夫 英語人生劇場


 「おはようございます。第4回英語バイアスロンにご参加いただきまして、ありがとうございます」で始まった。参加者は英作文の部が8人。口頭発表会参加者は6人。

  50代、60代、70代、80代。女性5人、男性3人。人数は少ないが、人生経験、日常経験、これまでの話題は豊富、多彩である。

  話題は、60年代に十代で米国40州をオートバイで回った体験と以後の人生。被災地大船渡で、沿岸復興のため、釜石ラグビーワールドカップ開催を契機に、がっちりスクラムを組もうと呼び掛ける女性。バチカンで法皇参席のもと、ベートーベン「第九交響曲」の大合唱、歓喜の歌を歌った女性。50日余りの滞米生活の経験で得た英会話と人間関係の広がりの喜び。世界文化遺産指定を受けた和食の地球的ブーム。韓国映画の注目すべき特質3題。世界に誇る日本人の長寿と健康生活の条件、など。

  「英作文コンテスト」であらかじめ、金、銀、銅賞各数人ずつを決定。その後に、英作文を私が添削。応募者が修正、改良して臨む「口頭発表会」。賞状(英語)の授与、賞品と記念品の贈呈。細かい点数で示しにくい差を、大きな基準で全員を、金、銀、銅賞に区分する方法。口頭発表の原稿は最初の英作文とは見違えるような出来栄えである。

  学習や、趣味や、仕事に取り組む人生の少し先輩たちの、有意義な集いだった。さらに、発表会後、来聴者を含めた「(自己紹介・学習方法・その他)懇談会」が、文字通り盛り上がった。何しろ、珍しい体験や、考え方や、生き方の「全員集合」である。実に貴重な交流であることを再認識した。これぞ「スピーチ・コンテスト」以前の、生きた交流体験である。「次回が楽しみ。また来ます。よろしくお願いします」となる。

  主催者(4L会)冥利(みょうり)。共催の放送大学岩手学習センターには、厚く御礼の次第である。今回は第4回「英語バイアスロン」だったが、第1回は5年前、3・11大震災津波の数日前だった。大震災後、翌年は休会。翌々年が第2回。ついで第3回。今回が第4回。参加者のテーマにも「被災地」「被災者」「被災関連者」「復興」が続いた。しかし、今回は復興の遅れにもめげず、前向きに個人の力を結集して、復興推進を続けるという視点が見えている。「苦難を通して復興(歓喜)へ」である。

  大船渡からの参加者は若い女性で、身重のため「口頭発表」参加を希望しながら、見合わせた。しかし、沿岸地域にとって、2019年ラグビー・ワールドカップ大会に釜石市が開催地決定を得たことは、大きな復興への弾みとなると彼女は考える。そのためのスクラムを、みんなで組もう―と。

  「懇談会」では、建設工事で大槌に滞在する60代男性の、オートバイ全米踏破体験が大きな話題だった。まだ海外渡航が一般的でない60年代中盤。船で、オートバイ持参で、ハワイに寄り、北米大陸に上陸。40州を駆け回った。使える英単語はわずか。耳と口で、それを増やした。こつは?とにかく話す。ポイントの単語を2個でも、3個でもつなぐ。分からなければ「それ何?」と問う。説明されて単語1個ゲット!この方式でしっかりした英語の使い手となった。なるほど!第九の合唱「歓喜の歌」(An die Freude)も近い。
(岩手大学名誉教授)


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