盛岡タイムス Web News 2016年  3月 11日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉291  草野悟 歳月は人の心を待つ


     
   
     

 忘れようとしても生々しく映像のように浮かんできます。犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたします。残されたご家族、また九死に一生を得た方々にとっては、まだあの日の時間のままの感覚と推察いたします。

  災害復興公営住宅の整備が急ピッチで進んでいます。連日、巨大な工事車両が行き交っています。街中の食堂は昼時、冬でも日に焼けたたくましい顔つきの作業員の人たちで活気にあふれています。阪神淡路大震災は20年を超えましたが、復興災害という現象に苦しまれている方々がまだいるそうです。ましてたった5年。傷が癒えるはずはありません。ただ仮設住宅暮らしの方々の5年は、精神的にも体力的にも長い忍耐の5年だったと思います。すべての仮設暮らしの方がまともな家に住めるようになるまで、まだ3、4年はかかるとみられています。災害復興公営住宅は各地で急ピッチに建設が進められています。新しい部屋での快適な暮らしはもうすぐです。

  とはいえ、すでに公営住宅に移られた方々の中には、「前の仮設住宅へ戻りたい」という声も聞こえます。大きな原因は「友達と離れ離れになった」「隣と会話ができない」「みそやしょうゆの貸し借りができない」など仮設住宅で作られたコミュニティーがなくなってしまったからです。こうした対処も自治体や社協、NPOの方々が状況を把握しケアに努めていますが、全部に目が行き届かないことも現状です。じゃあ自分に何ができるだろうか、と考えると無力な自分に気落ちしてしまいます。

  あれから5年。目に見える変化は出てきています。次はそこに「心」が必要です。当面は、いろいろな人が出入りする「交流人口」を増やし、にぎわいを作ることが地域の元気の素になります。一度でいいので三陸を訪問してもらい、食事だけでもしていただくだけで、にぎわいの一人になることができます。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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