盛岡タイムス Web News 2016年  3月 19日 (土)

       

■ 〈体感思観〉藤澤則子 旅立ちの歌声


 

 「白い光の中に 山並みは萌(も)えて―」。小学校の卒業式がピークを迎えている。思い出がいっぱいの学びやで、この「旅立ちの日に」を歌う卒業生、その合唱を聴き、わが子の成長した姿を心にとめる保護者も多いことと思う。

  「旅立ちの日に」は91年、埼玉県秩父市立影森中の教員によって作られた曲で、誕生から25年。「世界に一つしかない歌を生徒に贈りたい」との思いで作詞を手掛けたという当時の校長・小嶋登さんは故人となったが、盛岡地区の卒業式でこの歌を聴くたび、それぞれの校舎を見守る山容が目に入り、地域を超えたこの歌の力に何度も心洗われている。 17日に雫石町立大村小で開かれた卒業式でも、卒業生3人が感謝の言葉に続けて「旅立ちの日に」を歌った。児童10人の小規模校。澄んだ歌声が響く校舎の北側には、6年間の学校生活を見守ってきた男助山がある。

  「学校の周りに自然がたくさんあるのが大村小のいいところ」と卒業生の一人が話していた。この山が友と歌った巣立ちの歌と重なり、母校の思い出になっていくのかもしれない。

  今年度も各校の学習発表会や連合音楽会、合唱コンクールなどで心に響く歌声に触れ、子どもたちの思いをストレートに感じてきたが、卒業式の歌声は特別だ。

  ちょうど1年前、何度も合唱を聴く機会があった学校の卒業式で聞いた合唱は、別れの切なさもあり、それまでとは響き方が違った。

  胸の内を通り抜けていくような不思議な感覚を担任教諭に伝えたところ、「6年生は感謝の気持ちをたくさん伝えてきた。きょうは自分のためにも歌っていいよと、式の前に話したんです」との返事。

  歌声は心の向く方に響いていく。12歳が歌声をはせた未来が明るいものであるように、大人である私たちもそれぞれの仕事で精いっぱい尽くしたい。
 


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