盛岡タイムス Web News 2016年  4月 4日 (月)

       

■  〈幸遊記〉274 照井顕 JATPの1944年7月2日


 1940年代に入って、盛んになったジャムセッションが注目されるようになった頃、純粋なジャズファンで証券マンだったロスアンゼルス在住のノーマン・グランツ氏が、41年に興行に手を染め、44年7月2日、ロスのフィルハーモニック・オーディトリアムで開催したことに始まる有名な「JATP(ジャズ・アット・ザ・フィルハーモニック)」コンサート。

  その第1回に出演したのは、ナット・キングコール(vo)レスポール(g)ジョニーミラー(b)リーヤング(ds)JJジョンソン(tp)イリノイジャケー(ts)ら。エキセントリックなブロー演奏が受け、年々規模を大きくして、スタープレイヤーのほとんどが参加するまでに発展したという。そのJATPの日本初公演が行われたのは53年11月3日、有楽町の日本劇場(日劇)。

  そのコンサートを聴きに行ったジャズピアニスト穐吉敏子さん。彼女はその時のオスカーピーターソン(p)の演奏が今なお印象に残っていると、近現代音楽人名事典のアンケートに答えている。そのオスカーが、翌日の昼、穐吉さんが銀座にオープンしたばかりの「テネシー」で演奏していると店にやって来て、彼女の演奏を聴き、夜にも彼女のコージーカルテットを「ニュー銀座」にて聴き、その腕をノーマン・グランツに推薦したことから、レコーディングが決定。

  メンバーはオスカー(JATP)のリズム隊でハーブエリス(g)レイブラウン(b)JCハード(ds)。53年11月13日の深夜から14日の朝にかけて録音され、アメリカで彼のレーベル「ノーグラン」(ヴァーブ)から「トシコズ・ピアノ」としてで発売されたその日本人初モダンジャズレコード(オリジナル曲を含む)は評判になり奨学金をもらっての留学に至った。それからすでに60年の歳月。縁の不思議は僕にもおき、NY2016年3月6日、日曜のアンチーク市でサラ・ボーン(vo)のセプテンバーソング他SPレコード7枚。その中にはテディウィルソン(p)46年盤2枚も。そうテディは穐吉さんがジャズに魅せられた最初のピアニスト。演奏、録音もあのスイートロレインと同じ頃だからなおうれしく思い、穐吉さんに報告。さらに翌日、中古レコード店で見つけたのが、1944年のJATP初コンサート2枚組LPレコード(76年発売)だったから、僕にとってはまさに穐吉敏子ジャズ誕生編への旅のようでした。どんど晴れ!
(カフェジャズ開運橋のジョニー店主)



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