盛岡タイムス Web News 2016年  4月 12日 (火)

       

■  ニーズに応える新技術研究支援 ニッチな市場開拓し全国へ 盛岡広域振興局IT連携コーディネーター 佐藤清忠さん(一関高専特命教授) 企業集積生かし地域活性


     
   IT企業を核とした盛岡広域地域の活性化に意欲を燃やす佐藤清忠さん  
   IT企業を核とした盛岡広域地域の活性化に意欲を燃やす佐藤清忠さん
 

 盛岡広域振興局は、工学博士で一関工業高等専門学校特命教授の佐藤清忠さん(66)を昨年8月から経営企画部産業振興課所属のIT連携コーディネーターに任命し、IT関連産業の活性化に乗り出した。盛岡地域に集積するIT企業を基軸に、多様な主体との連携を構築。地域ニーズに応えて、小規模でも独創的な事業を生み出す環境を整え、全国に発信したいという。

  ITコーディネーターは、盛岡に進出したIT企業の実態を把握し、学術研究機関や他分野の産業などとの連携を推進する役割を担う。IT技術に関する地元のニーズも調査。IT企業のノウハウを地域が抱える課題の解決に生かす。

  日常的に企業や各機関を訪問し相談を受け付けるほか、新年度は事業者や地域が抱える課題の解決をテーマにしたワークショップも開催。さまざまな分野でITによるサービスの高付加価値化や生産性向上を目指す。紫波町などでは既に複数の地元企業が参加して、地域ニーズに応える新技術研究が始まっており、こうした動きを広域全体に広げる意向だ。

  さらに、地元で働くIT人材を確保するため、学生と県内企業のマッチングをはじめ、首都圏在住のIT関係者に対し、県内企業の求人情報や移住に必要な情報を発信するフェアの開催にも取り組む。

  コーディネーターとして奮闘する佐藤さんは、電気電子工学や教育工学が専門。技術職員として岩手大電子工学科電子回路学研究室に20年勤務した後、一関高専に異動。専門分野の研究をはじめ、電気自動車やロボットの開発に取り組む学生の指導にも従事してきた。環境パートナーシップいわての理事の一人で、野田村の被災者木工制作グループ「だらすこ工房」の市民共同太陽光発電所プロジェクトなどにも参加している。

  「本当に必要とされる技術や手段は、全ての人に使われ、継承されていくもの。ITもそうした手段の一つにならなければいけない。これまでITとは無縁だった地域や産業の中から、ニーズを探し出し、応えていくことが、地方創生につながる技術を生み出す」と力を込める。

  盛岡地域は、岩手大、県立大をはじめとした情報系の研究土壌や情報系スキルを持つ若手人材をコンスタントに輩出できる環境があり近年、IT関連企業の集積に力を入れてきた。

  2014年の経済センサス基礎調査(経済産業省)によると、盛岡広域振興局管内のIT企業は127事業所、従業員数2368人、売上高は242億円(従業者数による推計)。売上高は10年からの4年間で2倍に伸びた。県のまとめではIT企業の管内への新規立地は09年度から14年度までで20件に上る。

  ただ、海外に代わる「ニアショア開発」の拠点として、安価に人材を雇用できることを理由に進出する企業も少なくない。農林水産業における高品質化・省力化へのIT活用、観光分野への応用など、地域の特性を生かした開発力の強化が課題だ。

  「普通は気付きにくい『ニッチな(隙間の)市場』の開拓を盛んにし、生活の質の向上や人材育成につなげていくことができれば、それが全国における地域のブランド力を高めることにもなる」と佐藤さん。地域のニーズに応える価値ある「IT革命」に意欲を燃やす。

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  盛岡タイムス紙では、佐藤さんの連載を18日から開始する予定です。佐藤さんが説く「システム思考」を地域活性化に生かせないかと、身近な生活の中から例示して解説していきます。(編集局)


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