盛岡タイムス Web News 2016年  4月 13日 (水)

       

■  巨匠刻んだ時を超え 県立美術館 ロペスさん(スペイン)対面 10代の自分の像に会い 1972年作品 舟越保武「LOLA」のモデル


     
   舟越保武の長女末盛千枝子さん(左)と少女時代の自身がモデルになった「LOLA」(1972年、大理石)を鑑賞するマリア・ドローレス・ロペスさん=県立美術館・舟越保武記念室  
   舟越保武の長女末盛千枝子さん(左)と少女時代の自身がモデルになった「LOLA」(1972年、大理石)を鑑賞するマリア・ドローレス・ロペスさん=県立美術館・舟越保武記念室
 

 県立美術館(藁谷収館長)が所蔵している舟越保武(1912―2002年)作「LOLA」(1972年、大理石)のモデルとなったマリア・ドローレス・ロペスさん(59)=スペイン・セビリア=が12日、盛岡市本宮の同美術館を訪問し、少女時代の自身がモデルになった同作品と対面した。

  経済評論家だった父マヌエル・ロペス・ギル・ド・レオンさんの代から舟越家と交流し、来日は長年の夢だったというロペスさんは「10代のころの自分に会えた思いがする。舟越さんに初めて会ったのは12歳のときだったが、とても印象に残っていて、昨日のことのように感じる」と記憶をたどり、感激を新たにした。

  ロペスさんは夫のロレンツォ・ロメロさん(69)、長男のアレジャンドロー・ロメロ・ロペスさん(35)と訪れた。アレジャンドローさんがエンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の劇団員として日本に住むことが縁で、今回の訪問が実現した。舟越の長女で絵本編集者の末盛千枝子さん(75)=八幡平市=が連絡を受け、同行した。

  大理石の美しい女性像や聖人像で知られる舟越だが、通常はモデルをとらない制作スタイル。その中で、「LOLA」と題した彫刻は1982年頃まで少なくとも十数点制作されており、同館ではテラコッタ(74年)を含む2点を所蔵している。

  舟越がロペスさんの家族と出会ったのは70年のヨーロッパ旅行のとき。セビリアの自宅を訪ねた舟越は、娘のロペスさん(ドローレスさん=通称・ローラ)の風貌に魅せられ、帰国後にそのときのデッサンや写真を基に「LOLA」を制作したという。

  ロペスさんは、同館に常設展示されている大理石の「LOLA」を家族とともに観賞し、「自分の若いときに会えたような感動。偉大な芸術家に会えたことをうれしく思う」と目頭を熱くした。

  日本に写真やクリスマスカードを送るなど交流を重ねてきた舟越家について、「みんなで折り紙をして遊んで、止まらなくなった思い出がある。私は10人きょうだいで舟越家も家族が多かったので、大家族とはこういうものかと教わった」と振り返った。

  アレジャンドローさんは「ここまで来て彫刻を見るのが母の夢だった。夢をかなえさせることができて良かった」と喜んだ。

  末盛さんがロペスさんに会うのは、IBBY(国際児童図書評議会、末盛さんは現在名誉会員)の世界大会がセビリアで開かれた94年以来、約22年ぶりという。

  「ご縁が復活したようでうれしい」と感慨も深く、「舟越は、気に入ったタイプの顔を繰り返し作っていたが、顔や頭の骨格の美しさにこだわりがあったようだ。久しぶりにお会いし、当時の面影が残っていて感激した」と話していた。


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