盛岡タイムス Web News 2016年  5月 8日 (日)

       

■ 地震速報は命の調べ 盛岡地方気象台長の和田幸一郎さん 広報ソングの作曲者 東日本、熊本に教訓

     
  盛岡地方気象台長に就任した和田氏  
 
盛岡地方気象台長に就任した和田氏
 


  盛岡市山王町の盛岡地方気象台長に、今年度から和田幸一郎氏(58)が就任した。和田氏は2007年に運用開始した緊急地震速報の広報ソングを作曲し、防災の啓発に活躍してきた。東日本大震災の際は、福島地方気象台で関係機関に気象情報を提供し、被災地の最前線に立った。熊本地震を受け、改めて速報の重要性を訴える。

  −これまでの仕事は。

  山形県の出身。最初は1976年に陸上自衛隊に入り、それから国鉄に行き、87年の分割民営化で気象台に入った。気象庁では秋田地方気象台で地上気象観測や秋田空港の航空気象をやった。今までは仙台管区気象台の気象防災情報調整官、主に防災気象情報の改善に関することや防災関係機関と連携業務をしながら、地域住民に対する利活用促進や普及啓発をしてきた。2007年度の緊急地震速報の運用開始時に広報ソングを作った。

  −どんな広報ソングか。

  昔、ヤマハのポピュラーコンテストのグランプリ大会に出たことがあり、オリジナルバンドのリーダーとして作曲していた。「ポプコン−プラスワン」という山形県置賜地方を中心に活動していたバンド。堀内孝雄が山形県民会館に来たとき、一緒にやったことがある。

  30秒の広報ソングの最後に緊急地震速報が流れたときの対応について、秋田弁や福島弁などさまざまな地方で、「大きな揺れが来たときどうするか考えておきましょう」ということを方言で表した。ユーチューブで聞ける。秋田、庄内、福島、沖縄などそれぞれの土地の人たちが歌っている。

  速報の運用開始は第1次安倍内閣のときで、速報を政府一体となって周知広報するようお達しがあった。速報が流れたときどう対応すればよいか、利用心得のパンフを作ったり、認知を上げるよう30秒程度の短いPRソングを作ってはどうかということになった。

  初め気象台の職員に歌ってもらったが、地域の人に歌ってもらうことにより、それぞれの土地の言葉で、対応を方言で話してもらうようなPRソングが一番効果的と思った。転勤の先々で地元のママさんコーラスグループや、福島大の学生さんなどに歌ってもらい、ホームページなどに掲載した。東北コミュニティ放送協議会があるので、各社に流してもらうなど普及啓発を図った。

  −熊本で大きな地震が起こった。速報に具体的にどう対応したらよいか。

  緊急地震速報の性格上、速報が流れてから揺れるまでの時間が短い。揺れが来るまで普段の訓練や家庭の中で、起きたらこうしなければならないと話し合うようお願いしたい。短い速報だが、流れたときどうすればいいか分かっていれば、何も知らないでいるより、事前に十数秒でも対応がとることができ、有意義な速報の使い方になる。機会を捉えて講演などで普及啓発していきたい。

  −東日本大震災の教訓は。

  講演会などでは、内陸なので津波の心配はないという人がいるが、沿岸部に行ったり、就職して向こうに住む場合もある。津波は大丈夫ではなく、どこで遭遇するか分からない。他人事ではなく自分のこととして備えてほしい。物ばかりでなく、気持ちの備え方も大事。

  東日本大震災では福島地方気象台で防災業務課長の仕事をしていた。当時は混乱しており、オフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)に詰めていた。原発の災害対策本部で、住民安全班に属して、気象情報の提供や解説、捜索活動や復旧に関する気象支援などにあたった。

  −震災後も各種の災害は続発している。

  昨年は9月11日の記録的豪雨があり、岩手県内でも2013年8月9日は特別警報に相当する大雨だった。近年はそのような大雨がどこでも起きる時代になった。今まで経験していないところでも起きる可能性があるので、皆さんと一緒に啓発していかねばならない。それらを踏まえて気象庁は新たな防災情報の改善を進めているので、これらの利活用についても周知していきたい。


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