盛岡タイムス Web News 2016年  8月 19日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉314 草野悟 さびしい昼食? ウニだけ


     
   
     

 8月の中旬になると、そろそろウニの口開け(浜の一斉漁)が終了します。お盆シーズンは当然ながら需要と供給のバランスから価格が跳ね上がります。そんな折、田老の漁師のお姉さまから携帯メールがありました。「草野さん、きょうはどこにいますか」。この「どこにいますか」の連絡は「ウニ取れたので」という意味です。じぇじぇじぇ、絶対無理、今日は終日盛岡の県庁で仕事。泣く泣く「盛岡です。あしたまで缶詰、残念」と返事をしました。そうしたら「え〜、きょうのウニはとてもいい色しているのに。絶対宮古にいると思いました。じゃあ次ね」と冷たい文章にがっかりです。

  三陸のウニと言っても、浜ごとに微妙に色合いや味覚が違います。有名な種市産は濃厚のイメージ。普代村は荒海にもまれたしっかり食感。田老の真崎のウニは、上品で優しい味で後を引く感覚。山田のウニは、ガツンと丼にたっぷりかけて食べる男らしいウニ。吉浜のウニは一粒一粒がしっかりして口に含むと磯の香りが強い感覚。それぞれに特徴があるのです。もちろん目をつぶって利き酒じゃなく利きウニをしても、分かりっこないのですが。

  そんな中、最後の口開けということで、友人の山田の漁師がウニを持ってきました。タイミングよく休みの日でしたので、一人、豪華ウニ飯となりました。ところが、冷蔵庫には何もありません。漬物も豆腐も野菜も、とにかくおかずになる副菜が何もありません。仕方なく、炊き立てのご飯とウニだけで昼食となりました。しょうゆとウニとご飯、実にシンプルです。結局一瓶全部食べてしまいました。コレステロール過多なんて怖くありません。獲れたての生ウニだけのご飯なんて、この時期しか味わえません。最初はもったいないという意識から、数枚をご飯に乗せていただき、そのうち面倒になって、ドバーっと山盛りのように乗せて黙々と口に運びます。友人の漁師は太り過ぎて箱メガネが苦手です。あまり獲れないそうです。その貴重な収穫、感謝しつつも、大事に、一瞬であっさりと食べつくしました。

  漁師に友人が多いっていいなあとしみじみ思うこの頃です。
(岩手県中核コーディネーター)


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