盛岡タイムス Web News 2016年  8月 26日 (金)

       

■  気づいた日常のありがたさ 大津波の体験を生徒に 玉山中で講演会 釜石出身・小笠原さん(岩大1年)


     
  中学時代に震災を体験した小笠原咲紀さん(左)の話を聞く玉山中の生徒  
  中学時代に震災を体験した小笠原咲紀さん(左)の話を聞く玉山中の生徒
 

 東日本大震災津波を釜石市で体験した岩手大農学部1年の小笠原咲紀さん(19)による震災復興講演会(玉山地区公民館主催)が25日、盛岡市立玉山中(君塚圭一校長、生徒28人)で行われた。震災当時、小笠原さんは釜石東中1年で、津波により自宅が被災した。生徒は、同年代で津波を経験した小笠原さんの体験から得たものを聞くことで、日常生活のありがたさや防災の意識を新たにした。

 講演で小笠原さんは、釜石市などの津波の映像を写し、津波が1度だけでなく小さいものを合わせると数え切れないくらい来たことを紹介した。当時中学1年だった小笠原さんは、不安でいっぱいで泣き出す小学生の手を引いて高台まで避難したことなどを振り返り「山のてっぺんに到達し、街を見渡したときに、家も車も店も何もなかった」と話した。

  震災後、小笠原さんは「毎日のあたりまえにありがとう」という言葉をかみしめたという。朝ご飯を食べて学校に行き、勉強や部活をしたりすることが当たり前になっているが、震災ではそれが奪われた。再開した学校で先生や友達と会えることがこんなにもうれしいと実感した。

  小笠原さんは「ありがとうは有ることが難しいと書く。私は震災を体験するまで考えたことがなかったが、生活する中ですべてのことがありがたいこと。私は震災の日から5年間欠かさず1日1回はありがとうと言うことを続けて来た。みんなも誰かにありがとうという言葉を掛けることをきょうからやってほしい」と呼び掛けた。

  3年の水上日向子さん(15)は「いつもの日常生活が当たり前ではなく大切なことだと思った。私たちは内陸部だから普通の生活にすぐ戻ることができたが、沿岸の方に住んでいてそういう苦労があったことに驚いた」と話した。同校では9月に宮古市田老へ復興学習に行く。「5年たった今の状況をしっかり見てきたいし、そこに住んでいる人が苦しみに耐えながら頑張ってきたかをしっかり考えたい」という。

  君塚校長が釜石高でソフトテニスの指導をしていたときの部員だった縁で、小笠原さんが今回の講師を務めることになった。

  小笠原さんは「震災を後世に伝えることをいつかしたいと思っていて、この機会をいただいた。生徒には日々生活する中でありがたいという気持ちを持って生活してほしい。震災を経験せずに、普通の中学生はそういうことを考えないと思うので、講演を聴き、そういうことを考えられるきっかけになれば」と話した。

 


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします