盛岡タイムス Web News 2016年  8月 27日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 相原礼以奈 この甲子園を通過点に



 高校野球担当4年目にして、初めて甲子園球場に出張した。記者自身、中学時代からの高校野球ファン。高校進学の春には羽黒(山形)の初の選抜ベスト4、受験勉強に追われた夏には広陵(広島)の準優勝、大学進学の春には沖縄尚学(沖縄)の2度目の選抜優勝と、人生の節目ごとにテレビの前で応援した甲子園の思い出がある。

  7日、盛岡大附の初戦を前に、初めてスタンドの記者席(バックネット裏最上段)から球場全体を見渡した。大会初日の第二試合、出雲(島根)対智弁学園(奈良)の試合中。一塁側には出雲の鮮やかな紅白の大応援団、三塁側には智弁のスタンド名物「C」の人文字が見え、ワンプレーごとに球場が揺れるような大歓声が沸き起こっていた。

  憧れの球場に感激すると同時に、「ここに甲子園の魔物がいるのか」と緊張。前述の準優勝した広陵が決勝戦で佐賀北(佐賀)と対戦した際、球場の大部分が佐賀北を応援し、広陵ナインが完全アウェー状態での戦いを強いられたのは記憶に鮮明だ。

  今大会でも14日の八戸光星(青森)と東邦(愛知)の試合で、9回表まで八戸光星が4点リードしていた際、球場全体の応援も手伝い、9回裏に東邦が5得点して勝利するという展開があった。八戸光星は、盛岡大附と頻繁に練習試合をしてきたチーム。盛岡大附の石橋泰成主将(3年)は、翌日の練習時「甲子園は華やかな場所であり怖い場所だと思った。お客さんの雰囲気にのみ込まれることもあるんだなと」と受け止めていた。

  それでも「今までやってきたことを徹底し、自分たちのムードで試合ができれば」と話して臨んだ翌日の3回戦。敗れはしたものの、前の2試合同様、雰囲気に飲まれることなくのびのびと持ち味を発揮した。全3試合で登板した三浦瑞樹投手(2年)は「ボール1球だけで拍手してくれるという中で、自分の中でもいい投球ができた」と振り返る。大舞台で臆することなく戦ったメンバーと必死でサポートした部員たちが、この経験を生かす将来を楽しみに思う。

  将来といえば。2014年に盛岡大附を夏の甲子園初勝利に導いたOB松本裕樹投手(20、現福岡ソフトバンク)が、今年は後輩たちの激励に訪れたという。14日に神戸市内で行われた二軍戦に登板。見事勝利投手となり、翌朝宿舎にウイニングボールを持参したと伺った。記者も2年前のドラフト会議当日に取材した選手が、母校を大切にしながら頑張っていると思うとうれしい。

  甲子園は高校野球ファンにとって、深く刻まれる永遠の一瞬である。とは言え、そこに立つ若者にとっては人生の通過点。あるいはスタート地点かもしれない。取材記者にとってもそうであると肝に銘じ、今度の出張経験と出張費を無駄にしない努力を続けたい。


 


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