盛岡タイムス Web News 2016年  9月  18日 (日)

       

■ 惨禍の跡 傷深い岩泉町 ボランティア活動広がる 台風10号上陸から2週間経過 再建見えず 覆う不安

     
  家に入った泥をかき出し、土のうに入れる盛岡市災害ボランティアら=16日、岩泉町門  
   家に入った泥をかき出し、土のうに入れる盛岡市災害ボランティアら=16日、岩泉町門  


  8月30日夜に大船渡市から上陸し、岩泉町や久慈市など県沿岸北部で大きな被害を出した台風10号から、半月が過ぎた。未曽有の被害に遭った岩泉町では、道路の一部が崩れた国道455号が通行可能となり、県内外からボランティアが駆け付ける支援の輪が広がっている。一方で、復旧の手が回らない崩れた道路や立ち入り禁止となった住家などが多く、生活再建への見通しが見えず不安を抱える住民もいた。被害を目の当たりにしたボランティア、被災した住民の声を聞いた。(戸塚航祐)

 岩泉町小川地区は、グループホームで多くの犠牲者が出た同町乙茂地区に比べ被害は小さい。しかし、鉄骨を折って流された橋の残骸が小本川流域におびただしく残り、災害の大きさを人々に見せつける。

  現在は盛岡市の息子夫婦宅に身を寄せる同町門下三田貝の澤口光男さん(75)。「自宅の2階から様子を見ていた。家の前の橋にどんどん流木が引っかかり、すごい音が聞こえたと思ったら橋が壊れ、水が押し寄せてきた」と被害に遭った夜の様子を語る。澤口さんは妻と2階の窓から出て、裏山の神社に逃げたという。

  自宅1階は、流木が散乱し屋根の一部が落ちていた。流されて澤口さんの家にぶつかった隣の家にも流木が積もり、被害の大きさを物語る。澤口さんは時折、荷物を取りに自宅に戻るが「再建はできるかどうか…。再建できたとしても、(自分の年齢で)何年住めるか」と肩を落とす。

  不安を抱える町民を支援するため、災害ボランティアは各地域で精力的に活動している。盛岡市からのボランティア20人は16日、同地区の酒屋の佐忠商店で泥出しなどを行った。

  泥は同店と母屋1階の奥まで入り込んでいた。泥に流され割れた酒瓶、ガラスの散乱したショーケースが痛々しい。水分を含んだ泥は5aほど。ボランティアは重い泥を懸命にかき出していった。

  泥から貴重品が見付かると、家主の佐藤幸司さん(50)からほっとした声がもれた。佐藤さんは被災当時、両親と身一つで2階に逃げたが、ボランティアの活動に次第に笑顔を取り戻していった。

  同店は今回の支援で多くの泥をかき出せた。しかし「(店舗再開は)まだ考えられる段階じゃない」と苦しげな声を出す。「泥などを片付けて、落ち着きを取り戻さないと。今は何とも言えない」と途方に暮れる。

  岩泉町災害ボランティアセンターによると、15日までに延べ約1500人が町内で活動。支援を必要とする町民の声は多いが、同町社会福祉協議会の佐々木泰二会長は「支援体制が軌道に乗り始めたが、受け入れ側も一度に大量のボランティアの対応は難しい。必要なのは支援の継続と持続だ」と話した。

  職場の同僚2人と参加した紫波町の介護職員横沢加代子さん(49)は「泥の量が多く、一人では無理だと感じた。3年前の紫波郡の大雨など他人事とは思えない」と声を強めた。


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