盛岡タイムス Web News 2016年  9月  23日 (金)

       

■  盛岡バスセンターから考える会 記憶の発車オーライ 路線に乗って街歩き ターミナルの存続求め


     
  盛岡バスセンターからバスに乗って、まち歩きを堪能したメンバー  
  盛岡バスセンターからバスに乗って、まち歩きを堪能したメンバー
 

 今月いっぱいで廃止される「盛岡バスセンター」の保存実現を目指し、バスに乗って盛岡の街歩きを楽しむイベントが22日、行われた。盛岡バスセンターを実際に利用し、その価値を共有しようと、盛岡バスセンターから考える会が企画した。同会のメンバーや家族ら10人余りが参加。歴史あるまちの記憶を留め、生かしていくことの重要性を再認識した。

  一行は午前中、盛岡市中ノ橋通1丁目の盛岡バスセンターから、同市内丸の県庁市役所前までバスで移動。県公会堂や与の字橋、紺屋町かいわいを散策し、江戸時代から明治期にかけて建造された商家「茣蓙(ござ)九」などを見学した。
  バスセンター内で営業を続けている店で昼食を取り、午後からはバスで南大通方面へ。盛岡まち家が並ぶ鉈屋町や大慈寺かいわいなど、城下盛岡の風情が感じられる街並みを堪能した。

  細川昂徳君(大慈寺小3年)は「古い家も残っていてすごいと思った」、妹の恭佳さん(同小1年)は「バスから見えたお花がきれいだった」と街歩きを楽しんだ様子だった。

  盛岡バスセンターは1960年に利用開始。当時は飲食店のほか屋上には遊園地もあり、大変なにぎわいだった。しかし、近年は、客足が減少。バスの大型化や運行本数の増加で、既存施設だけではターミナル機能が維持できなくなり、設備の老朽化も進んだ。運営会社や市などは、バスセンターを核とする再整備事業計画を立てたが、経済情勢の悪化と東日本大震災による資材高騰で着手のめどが立たなかった。

  3月には、バスセンターの運営会社が再整備事業からの撤退を決定。9月いっぱいでバスセンターを閉鎖、年内に取り壊すことが発表された。市は跡地を買い取った上で、複合施設を建設しバスターミナルの機能を維持させる方針だが、整備に数年かかる見込み。それまではバス待機所の仮施設で対応する。

     
  茣蓙(ござ)九の中庭も見学  
 
茣蓙(ござ)九の中庭も見学
 

  市民からは、昭和レトロの雰囲気が漂う建物の保存を求める声のほか、通院などでバスを利用する高齢者や障害者の「ゆっくり休める場がなくなる」などと複合施設完成までの対応を不安視する声も出ている。

  考える会は、市が運営会社から建物を取得した上で、保存を視野に市民と活用法を話し合うよう市や市議会に陳情。市民ワークショップも開催して盛岡バスセンターの活用を含めたまちづくりのあり方を問い掛けてきた。

  同会共同代表の細川智徳さん(50)は「まちを作るのは市民。古いものも含めて、いいまちを作っていく考えを持つべき。50年後、100年後、財産としてどんなまちを残していくべきか、盛岡バスセンターの問題を契機に深く考えてほしい」と希望。

  同じく共同代表でこの日、案内役を務めた真山重博さん(68)も「安易に昔からある建物を取り壊し開発するやり方は、まちの記憶の断絶につながる。全国的に古い建物や街並みが残っている地域ほど、注目され、評価が高まっていることも考えるべき」と話した。


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