盛岡タイムス Web News 2016年  10月  15日 (土)

       

■ 〈体観思感〉視野を広げる難しさ 戸塚航祐


 

 どこに何が必要とされているか。取材で出会った「マーケティング」という言葉から自分の視野がどの程度なのか、改めて考えた。

  考えるきっかけは雫石町でインタビューをした時だ。同町の男性は「町には良いものが多くあるのにもったいない。マーケティングをほとんど行っていなかったのかもしれない」と心配。同町では農業の6次産業化に成功した人が多いが、ブランド化をした商品の購買層や需要などの分析が不十分と指摘する。

  マーケティングは要約すれば「商品が売れるための仕組み」だ。仕組み作りと言ってもいい。マーケティングには、広義と狭義の二つの意味がある。広い意味のマーケティングは、会社などが行う事業の最終的な目標への道筋を作ることだと言われる。社会の動態を見定めるなど、次の一手を打ち続けてゴールに達する戦略的視点が必要とされる。

  一方、狭い意味のマーケティングは戦術的視点。客層、消費額、満足度など状況を見て臨機応変に対応し、最終目標のための手段として使われる場合が多い。新商品の企画、PR活動など広報活動の結果が当てはまる。

  同町の男性がどの視点でマーケティングを語ったかは分からないが、同町以外でもマーケティングを意識する人に出会った。

  滝沢市でイベント企画などをする男性は「視野を広げないと、岩手は他県に置いていかれる」と話す。盛岡市の会社役員は「全国的なはやりの把握は絶対に必要。チャンスにすら気付けない」と危機感を持つ。どちらの男性も視野を広げ、「知る努力」をすべきだと語った。

  しかし、従来の視野を広げることは勇気が必要だ。人間は興味を持ったものしか意識が向かない。マーケティングは達成すべき目標を浮き彫りにする。より良い将来を作る一手を考えるきっかけになるかもしれない。将来を憂う人たちの話を聞き、一歩前に進む難しさと知ることの深さを改めて考えさせられた。


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