盛岡タイムス Web News 2016年  11月  15日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉263 及川彩子 待ちに待った鮮魚店


     
   
     

 イタリア生活20年目の今秋、ここアルプスの麓の街アジアゴに、待ちに待った鮮魚の第一号店が、わが家の筋向いに開店しました。

  アジアゴ高原で一番大きなスーパーマーケットに設けられた小さな魚売り場です[写真]。

  これまで、週に一度、車で一時間走って山を下り、ベネチア近郊の鮮魚店に出掛けていましたが、これで不便解消です。

  イタリアは、地中海とアドリア海の恵みを受けた国。ボンゴレ(アサリ)、イカ墨、アンチョビ(カタクチイワシ)など、魚介類のパスタ料理などが知られていますが、アルプス周辺は、何と言ってもチーズにサラミやソーセージなど山料理が本場。それ以外は食べないという、良くも悪くも保守的かつ閉鎖的慣習に支配されている人も少なくありません。

  そんな中での朗報に、早速買い出しに出掛けると、「ベネチア直送」の宣伝に負けない鮮魚や貝類が見事に並んでいました。

  イタリアの鮮魚店はスーパーでも、切り身ではなく一匹単位の購入が基本。それを客の希望で、内臓を取り、おろしてくれるのです。

  残念ながら、日本では今が旬のサンマは、この近海にはありませんが、こちらでよく食べられる魚は、スズキ、クロダイ、ヒラメ、イワシ、イカにサバなど。その日は、脂の乗ったイワシを1`買って500円でした。

  どの魚もグリル焼きか、粗塩に包んだオーブン焼きが一般的ですが、最近は生魚のカルパッチョが人気。透けるほどの生の薄切りに、レモンをかけるだけの、まさに刺し身仕立てです。

  「カルパッチョ」とは、本来は牛肉の薄切り料理で、15世紀のベネチアの画家カルパッチョの赤い色彩画を思わせることから名付けられました。「生魚もそれに匹敵する」と、刺し身もカルパッチョと呼ばれているのです。

  世界的すしブームの影響で、好奇心旺盛な友人たちを招き、見よう見まねのすしを振る舞ってきたわが家も、これからは日伊友好に恥じない接待をする必要がありそうです。


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