盛岡タイムス Web News 2017年  1月  23日 (月)

       

■  在宅ケア希望の環境整備 選択肢広げるため支援 在宅ボックス滝沢2年経過


     
   訪問看護師の佐藤江里子さん(左)の指導で、リハビリ体操に挑戦する西村まき子さん。「元気なうちから意欲を持って取り組んでもらうことが大事。加齢で筋力が弱ってくるのは仕方ないが、悪くなる前に始めることで、衰えも緩やかになり、本人の自立につながる」と佐藤さん  
   訪問看護師の佐藤江里子さん(左)の指導で、リハビリ体操に挑戦する西村まき子さん。「元気なうちから意欲を持って取り組んでもらうことが大事。加齢で筋力が弱ってくるのは仕方ないが、悪くなる前に始めることで、衰えも緩やかになり、本人の自立につながる」と佐藤さん
 

 患者や家族の相談に応じ、医療や介護を受けながら自宅で生活し続けたい人をサポートする地域連携システム「在宅ボックス滝沢」は2014年11月の運用開始から約2年が経過した。岩手西北医師会、岩手八幡平歯科医師会、滝沢市地域包括支援センターが協力。滝沢市や盛岡北地区を中心に、かかりつけ医やケア・マネージャーら多職種のスタッフが連携し、本人や家族の状態に応じた在宅ケアの環境を整える。このシステムを利用し、住み慣れた自宅で暮らす患者がいる一方、家族の事情などで病院や施設での療養生活を選ばざるをえない患者が多いのも現実。一人ひとりのQOL(生活、命の質)を高めるため、より最適な選択ができるようシステムの周知と充実を図っていくことが課題だ。(馬場恵)

  在宅ボックス滝沢訪問看護ステーションの看護師宮城路子さんと、佐藤江里子さんが、庭先に姿を見せると、西村まき子さん(95)=滝沢市鵜飼=は窓越しに手を振って、2人を歓迎した。要介護2の認定を受けている、まき子さんは、週2回ずつの訪問看護と訪問介護、月1回の訪問診療を利用。近くに住む二男の全功(まさのり)さん(66)一家に見守られながら、一人で暮らしている。

  立ち上がりやすいようベッドもレンタル。歩行器を使って家の中は自分で移動できる。耳はよく聞こえないが、言葉を文字で示せば、会話に支障はない。

  「よく眠れましたか」「膝の痛みはどうですか」―。佐藤さんがボードに書く質問を見ながら「眠れないなあ、と思っていたら、テーブルに薬が一つ残ってた。飲めば大丈夫」「痛みもだいぶ楽になった」と、歯切れよく応じるまき子さん。「看護師さんたちはマッサージ一つとっても、その手が優しい。いつも、いい気持ちですよ」とほほ笑む。

  この日は、体温や血圧を測って健康を確認したあと、リハビリ体操にも挑戦。大きく腕を伸ばす動作や、ゴムバンドで軽く結んだ膝を開く運動も難なくこなしてみせた。

  まき子さんは、40年ほど前に夫に先立たれた。3人の子どもも独立、それぞれ一家を構え、別に暮らしている。全功さんから、一緒に暮らすことも提案されたが「住み慣れた我が家がいい」と一人暮らしを選んだ。

  昨年、高血圧の持病に加え、関節の痛みが強まり、全功さんらが付き添って通院。このとき、自宅で医師や看護師のケアを受けられる仕組みがあることを知り、9月から利用を開始した。自宅で点滴治療などを受け、体調は回復。今冬も腰を痛めた時期があったが今は元気に過ごす。

  「昔から、ぱりっとした母。お互い少し距離があったほうがうまくいくこともある」と全功さん。食事だけは、まき子さんの希望で、全功さんの妻の恵子さん(63)が手作りしたものを届けている。様々な人の手を借りながらも、自分が家を守っているという気概が、まき子さんの元気を支えているようだ。

  全功さんは「看護師さんたちは一生懸命。女神さまに見える。みんなで支える、こうしたシステムがあることを、もっと多くの人に知ってもらえば、恩恵を受ける人も増える」と語った。


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