盛岡タイムス Web News 2017年  1月  30日 (月)

       

■  もみ殻燃料で循環モデル 盛岡市の東日本機電開発 ILC見据えて技術力


     
  主力事業の制御盤の製造現場に立つ水戸谷社長  
  主力事業の制御盤の製造現場に立つ水戸谷社長
 

 盛岡市手代森の電気機械器具製造、東日本機電開発(水戸谷剛社長、従業員47人)は、工場や施設の設備を操作する制御盤の設計製造を中心に、鶏ふんを使った特殊肥料の販売、「いちご閉鎖型高設栽培システム」の設計製造などを展開している。売上高7億4500万円(2016年6月時)。昨年12月の国際学会リニアコライダー・ワークショップ企業セッションでは、「岩手コラボ」として県内製造業2社と開発した電解研磨装置を発表。高い技術力を国内外の技術者にアピールした。環境事業にも意識が高く、2月からはもみ殻を燃料とするボイラーを活用し、地域資源の新たな循環モデルの構築に乗り出す。(飯森歩)

  1971年に設立し、精米設備の制御盤・動作盤製造から始まった同社。創業当時はメーカーの図面通りに機器を製造するだけだったが、事業方針「新しい仕事を作り続けていく」「地域の仕事は地域の中で」の下、技術向上を推進。現在では各施設に合わせた図面制作から製造、検査、メンテナンスまで一貫して行い、北東北地域のごみ焼却施設、上下水道施設などインフラ施設の制御システムを主に事業を広げている。

  また「常に新しい仕事を生み出しつづける」を掲げて環境事業を推進し、07年には鶏ふんを再利用した有機肥料「イグナール2号」の販売を始めた。

  県内の産業廃棄物の3分の2は家畜の排せつ物。中でも栄養価の高い鶏ふんの再利用を模索し、健土・健食・健民をテーマに農産物の成育に最適な土づくり≠フ提案として販売を広げた。

  その方法として微生物が活発化する土壌づくりについての勉強会を開き、肥料が有効に機能する散布時期などを指導。さらに各農地の水温や日当たり、イネのデンプン含有量などを調査した上で、使用量を毎年提案している。ホームセンターなどで販売されている鶏ふん肥料は1袋(10`)100円ほど。イグナール2号は1袋1千円だが、年間約3万袋を売り上げている。

  「売るを目的とせず、資源循環を目指した土づくりの提案≠ニして紹介した結果」と水戸谷社長は語る。

     
  陸前高田市で運用されている、いちご閉鎖型高設栽培システム  
  陸前高田市で運用されている、いちご閉鎖型高設栽培システム
 

  その他、県農業研究センター技術部南部園芸研究室と共同開発した「いちご閉鎖型高設栽培システム」は11年2月、地銀などが参画するいわて産学連携推進協議会(リエゾン―I)のフェアで最優秀賞を獲得。肥料供給から起こる連作障害を防いだ他、肥料不要で光熱費、設備費の大幅な低減に貢献した。土壌が水の上に乗った状態となる底面給水方式を採用し、温水を流すことで暖房費を削減。水面の高さが一定に保たれる原理を用いた給水システムから燃料、設備費の低コスト化にもつなげた。

  2月からはもみ殻を燃料とするボイラーを用いて、地域内の資源を循環させる仕組みづくりに乗り出す。県内で採れるもみ殻は年間約700`。その7割以上が廃棄処理されている。周辺農家から不要なもみ殻を集めて工場の床暖房のボイラー燃料として使い、焼却されたもみ殻「燻炭(くんたん)」は返却して肥料にしてもらう。運用試験が成功すれば、地域の新たな資源循環のモデルとして発信できる。

  水戸谷社長は「岩手の主力産業は農業、畜産。それら成長させることが岩手の発展につながる。われわれは技術面で支援し、地域に暮らす人が安心安全に暮らせる資源循環の仕組み作りに貢献したい」と語る。

  2020年には創業50周年を迎える同社。社員一人当たりの生産性を高め、現状1人約800万円の生産力を1千万円まで伸ばす目標を掲げている。

  新事業を生み出し続ける姿勢の下、共同開発した国際リニアコライダー(ILC)関連製品について、水戸谷社長は「誘致の機会を地域の事業者が生かすことが必要。1社では難しくとも、事業者が連携すればILC事業に携われる可能性が高まる」と力説し、同連携事業が地元の事業者の発展、ひいては地域の発展につながることを願った。


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