盛岡タイムス Web News 2017年  4月 8日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 相原礼以奈 土とダイヤモンドの輝き


  第89回選抜高校野球大会(3月19日〜4月1日)には初めて本県から2校、しかも盛岡地区の盛岡大附と不来方が出場。十数年来の高校野球ファンでもある記者が現地で取材させてもらった。昨夏に続き2度目とはいえ、甲子園球場での取材は普段以上に緊張の連続。孤独な出張中にお世話になった両校、同業他社、関係各位の皆さまに改めて感謝したい。

  選抜大会の大会歌「今ありて」の2番は、「踏みしめる土の饒舌(じょうぜつ)/幾万の人の想い出」の歌詞で始まる。試合後に選手たちが土を持ち帰る風習もあるように、甲子園での「土」は特別な意味を持つ。

  球場パンフレットには「鳥取、岡山、鹿児島など全国各地から選りすぐった黒土に白砂をブレンド。その配合比率も例えば雨の多い春は水はけを良くするため砂を多くして、日差しが強くボールが見えにくくなる夏を迎えると黒土を多くする」とある。気候によって絶妙に配合を変えるなんて、まさに職人技。

  試合前に整備されたグラウンドのダイヤモンドには息をのむ美しさがあった。その特別な舞台に立つチームには、尋常でない注目と期待が注がれる。その中でも盛岡大附と不来方の選手たちは岩手で培ってきた力を十分に発揮、甲子園の土に自分たちの野球を刻みつけた。

  試合後は、記者も撮影のためグラウンドに出た。土を集めていた不来方のある選手が困った様子で、そばにいたカメラマンに「これって、どれくらい集めるのが相場なんですかね?」と尋ねていた。聞かれた側も和んだようで「いっぱい!  高野連のおじさんが足してくれるよ」と優しい対応。何もかも初めての初出場。素直さは若者たちの最大の武器であると感じた。

  土ひとつにも「幾万の人の想い出」が渦巻く。その土の上で得た喜び、経験、悔しさは、選手たちの次の輝きへの財産になるはず。記者にとって全国のマスコミひしめく甲子園での取材は、地元紙ができることは何だろうと足元を見詰め直す機会にもなった。今回の経験を土壌に、自信を持って自分たちの報道ができるよう努力を重ねていきたい。


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