盛岡タイムス Web News 2017年  4月 27日 (木)

       

■  斎藤実の書 紫波から故郷へ 奥州市への寄託決まる 李迪の「定静銘」の一句 09年彦部で発見、絶筆か 二・二六事件前日の消印 貴重資料の保全を考慮


     
  斎藤實記念館へ寄託される書(紫波町提供)  
 
斎藤實記念館へ寄託される書(紫波町提供)
 

 紫波町が所有する奥州市水沢区出身の元首相・斎藤實(1858―1936)の書が、古里の同市へ寄託されることが26日、決まった。この書は斎藤が1936(昭和11)年の二・二六事件で倒れる前日の2月25日の消印で東京から郵送され、同28日に旧彦部村(現紫波町彦部)に届いたもので、斎藤の絶筆と考えられている書の一つ。貴重な資料を管理、保全するため、町所有のまま同市へ預け、同市立斎藤實記念館で保存、活用される。(山下浩平)

  2009年に町文化財調査員の長澤聖浩さん(39)が彦部地区の住民宅から発見。「處萬變主一敬」と記されており、町によると書は「萬變(ばんぺん)に處(しょ)する一敬を主とす」と読み、朱子学者李迪(りてき)の著作集「定静銘」の一句とみられる。

  今年に入り、所有者が亡くなったことから、その家族の申し入れにより、書が町へ寄贈された。その後、町は今後の保管方法を検討する中で、斎藤の古里である奥州市へ預ける方向で協議。両市町における手続きが完了し、寄託が決まった。

     
  斎藤の書を発見した当時を振り返る長澤聖浩さん  
  斎藤の書を発見した当時を振り返る長澤聖浩さん
 


  書は横140a、縦33a。届けられる前年の35年9月に斎藤は、当時の三井財閥が設立した財団法人三井報恩会による農村更生事業が進められていた彦部村を視察。その際、当時の佐藤定八村長が斎藤へ、揮毫(きごう)を依頼していた。「斎藤實」と雅号「皋水」の印があり、「丙子春」が36年を指している。

  長澤さんは「書は、どんな事態に対応するにしても誠実さや真心に勝るものはない、という意味ではないか。三井の事業がなければ斎藤は彦部に訪れることは恐らくなかった。この書は斎藤と彦部の関連を示す貴重なものでもある。記念館に所蔵されることで、彦部地域の歴史も合わせて語り継がれれば」と思いを語った。

  斎藤實記念館の桐山信男館長(61)は「常設展示とするかは今後、検討していく。斎藤は休みの日に部屋にこもり、全国から依頼された書の制作に励んだようだ。大変貴重な書であり、機会を捉えて展示し、多くの来館者に見てもらえれば」と話した。

  斎藤の揮毫はこの他に、彦部地区にある佐藤村長の親族の家に「努於徳備於政」があり、現在もこの家で保管されている。


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