盛岡タイムス Web News 2017年  4月 28日 (金)

       

■  温泉熱利用したバイナリー発電 源泉公園や促成栽培ハウスに 減圧蒸留水で環境にやさしく 盛岡市つなぎで供用開始


     
  完成した源泉公園内の足湯を利用する地元の児童  
  完成した源泉公園内の足湯を利用する地元の児童
 

 2013年8月に発生した集中豪雨被害からの復興と地熱に対する理解促進、再生可能エネルギーの普及促進を目的としたつなぎ温泉地域地熱利用施設が盛岡市繋湯ノ舘で27日、供用開始された。温泉熱を活用したバイナリー発電施設で使用した温泉熱を、つなぎ源泉公園(野菜乾燥施設、温泉たまご製造施設、手湯、足湯など)、地熱活用促成栽培ハウスに活用する。オープニングセレモニーが27日、現地で行われ、温泉や市の関係者がテープカットで施設の完成を祝った。

  バイナリー発電は、エネルギー総合工学研究所、東京大、アーカイブワークスの3者が整備。温泉の熱で水を蒸気化させ、タービンを回して発電する。一般的なバイナリー発電は、沸点の低いアンモニアやペンタンなどの物質を温泉熱で気化させて発電するが、同地区のバイナリー発電は、減圧した蒸留水を使用することで、コスト低減や環境に優しい仕組みとした。1時間当たり45世帯分の年間使用量に相当する20`hの発電を想定する。バイナリー発電は県内初で、水を蒸気化させるタイプを温泉地に設置するのは全国でも初の試み。

  バイナリー発電施設では、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託を受け、3者が実証実験を18年2月末まで実施。実験後の発電機は、つなぎ源泉管理(佐藤匡子社長)が簿価買い取りし、メンテナンスをしながら発電を行い売電していく考え。つなぎ源泉管理では停電時の温泉供給のための電力としての使用も想定する。

  発電後の温泉熱は、市とつなぎ源泉管理が共同で申請した国のつなぎ温泉地域地熱活用事業により整備した乾燥野菜や温泉たまごの製造施設、手湯、足湯などの源泉公園、地熱活用促成栽培ハウスに利用する。

     
  関係者がテープカットでつなぎ温泉地域地熱利用施設の完成を祝った  
  関係者がテープカットでつなぎ温泉地域地熱利用施設の完成を祝った
 


  年間を通しての栽培が可能なハウスは重油の代わりに温泉熱を利用することで、コスト削減を図り、需要の高いトマトを栽培する。栽培したトマト、製造した温泉たまごを同地区のホテルや旅館に購入してもらい、ハウスや源泉公園の管理費に充てる。源泉公園内の足湯や手湯は、無料で利用できるほか、たまごを持参すれば無料で温泉たまごの製造体験も可能。足湯、手湯や温泉たまご製造体験は午前9時から午後5時までの利用を予定する。

  発電に使用するつなぎ源泉管理所有の源泉の温度は86度から88度と高く、これまでは各温泉施設に供給する管の劣化などにつながりやすかった。今回の発電では、毎分400gの使用であれば他の源泉井に影響を与えないことが分かっており、さらに発電に使用することで管に負担のない温度まで下げることができる。当該源泉は発電機内で固着し、発電量低下の原因となる温泉成分が付きにくく、発電に適することも分かっている。

  つなぎ源泉管理の佐藤社長は「13年の豪雨災害では電気がこないので、私どもも皆さんに温泉を供給できずに困った。電気が必要ということで、今回発電ができるようになれば災害時にすぐに使えることになる。乾燥施設は非常食づくりとしても活用できる。この施設が、つなぎ温泉の活性化の一助になれば」と話した。


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