盛岡タイムス Web News 2017年  5月 12日 (金)

       

■  盛岡市立病院 泌尿器科の外来開始 尿道結石 内視鏡とレーザーで治療

 

     
   内視鏡とレーザーを用いた尿路結石に取り組む盛岡市立病院の工藤大輔医師  
   内視鏡とレーザーを用いた尿路結石に取り組む盛岡市立病院の工藤大輔医師
 

 盛岡市立病院(加藤章信院長)は、1月末から泌尿器科の外来診療を開始し、内視鏡とレーザーを用いた尿路結石、前立腺肥大症の治療に取り組んでいる。尿路結石の一般的な治療法は、体の外から衝撃を与え、中の石に焦点を当てて壊す体外衝撃波だが、今年1月に同病院に着任した泌尿器科長の工藤大輔医師(48)は、内視鏡とレーザーを用いて石を直接的に壊す「経尿道的結石破砕術」による治療を得意とする。尿路結石の治療の選択肢を増やし、患者の早期の社会復帰につなげる。

  尿路結石の有病率は、がんよりも高く、一般的には男性の7人に1人、女性の15人に1人が一生のうちに必ずなると言われている。高齢の女性の場合、尿路結石から感染症になり、敗血症に移行し死に至るケースもある。腹痛や腰痛、血尿などで分かることもあるが、いきなり転げ回るような痛みが発生し、日常生活がままならなくなることもある。

  尿路結石の一般的な治療法は体外衝撃波で、県内でも年間約1千例が行われている。この他、排泄を促進する薬を飲み水分をたくさん取り自然に排石させる内服療法がある。工藤医師が行う経尿道的結石破砕術は、コンピューター断層撮影(CT)で石の場所や大きさ、硬さを推定し、その後に太さ約3_の内視鏡を尿道から挿入して石を確認。内視鏡の中を通して、レーザーファイバーと呼ばれる器具を入れて先端から出るレーザーで石を壊す。砕いた石はレーザーファイバーと同様に内視鏡の中を通したバスケットという器具で捕捉して体外に排出する。

  内視鏡を用いた治療の場合、レントゲンなどに写らない石も直接内視鏡で確認して治療できるほか、体外衝撃波で壊せない硬い石にも対応できる。砕いた後の残石も取り除くため10_以下の石の場合、消失率は93%と、1回の手術で根治する可能性が高い。工藤医師は「痛みがなく仕事に戻れるという意味では、残石があることで治療としては完遂しない。退院イコール社会復帰ではなく、石が消失して痛みの心配がないことが社会復帰。患者が石の心配なく、普通に日常生活を送れることが社会復帰」と捉える。

  内視鏡の治療では、石を直接見られることから色などで石の成分分析ができ、手術後に食生活や生活習慣など患者個々に合わせた再発予防治療につなげることもできる。一方、全身麻酔を施し、入院期間は3泊4日ほどと体外衝撃波に比べ長くなる。

  体外衝撃波は、1泊2日と短期間での手術が可能で、麻酔も小さい範囲で済む。一方で、硬い石には対応できない。治療後に石が残ることもあり、10_以下の石の場合、消失率は64%と、複数回の手術が必要になる場合もある。

  同病院では、石の種類や患者の予定に合わせて治療法を選択し、内視鏡の場合は同病院で治療を行い、体外衝撃波を希望する場合は連携する病院へ紹介する体制を取る。工藤医師は「一つの病院で全てをやるのではなく、特徴のあるところに症例を集めて、治療に慣れた医師が効率的に地域の中で一つの役割を果たしていく病診連携の一助になれば」と話す。

  診療体制の充実として、同病院では4月1日から消化器・栄養センター(須藤隆之センター長)も発足。消化器内科、外科が診療科の垣根を越えて連携強化を図り、患者の症状に合わせて協力して治療に当たる取り組みを進めている。医師9人を中心に、薬剤師、栄養士、看護師など約25人がメンバー。

  消化器系の疾患は栄養障害が多いため、同センターでは病気とは別に栄養状態が悪い患者の治療方針を立て、治療後の回復や合併症の防止に役立てる。消化器系のがんの場合、同病院では早期がんは消化器内科、進行がんになった場合は外科が診る。同センターの発足で、両科、がん患者支援チームのミーティングを増やすなど、情報共有を密にし、より迅速な患者の治療や診断につなげる。
(泉山圭)  


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします