盛岡タイムス Web News 2017年  5月 13日 (土)

       

■ 建設ゴーサイン「待つ」 工業技術セなど視察 ILC関係のドイツ研究者 地元自治体と懇談も

     
  工業技術センターで説明に耳を傾けるクラウス(中央)、トーマス両博士(右)  
   工業技術センターで説明に耳を傾けるクラウス(中央)、トーマス両博士(右)
 


  国際リニアコライダー(ILC)の技術開発などに取り組むドイツの素粒子物理研究所の研究者2人が、ILC建設候補地の本県を訪れている。DESY(デイジー=ドイツ電子シンクロトロン)所属のクラウス・ジンラム博士とトーマス・ショーナー・サデニウス博士は12日、盛岡市北飯岡の県工業技術センターや北上市などの加速器関連企業を視察。両博士は取材に応じ「できるだけ早く日本から(建設の)ゴーサインを待っている」と、具体化に向けて期待感を表明した。

  県政策地域部科学ILC推進室によると、両博士は既に昨年12月のリニアコライダーワークショップなどで本県を何度か訪れている。今回来日に伴い訪問を申し出、県が受け入れた。視察にはKEK(高エネルギー加速器研究機構)名誉教授の吉岡正和東北大・岩手大客員教授らも同行した。

  工業技術センターでは、南部鉄器や日本酒の醸造技術、3次元プリンター技術などが紹介された。2人はILCに直接関係しないとみられる技術にも通訳を介して熱心に質問していた。3次元プリンター関係の金属粉末積層造形装置に興味を示していた。

  センターではILCに関して、加速器の超電導加速空洞を研磨する装置のコスト削減につながる技術を確立させている。県内企業の加速器関連産業の参入拡大が期待される。

  県やセンターとの懇談で、トーマス博士は「センターの取り組みの幅広さが印象に残った。中小企業のサポートは称賛する。ドイツのモデルにもなる」と評価。その上で「ILC研究を進める中で良い拠点になるのではないか。ワンストップで情報がデータベース化され、地域企業に提供できる場所が必要だ」と主張した。

  クラウス博士は「地元企業の取り組みはほぼ100%がILCに結び付けられるのではないか。日本だけでなく世界を舞台に通じるものがある。地場企業もILCに詳しい」と印象を語った。

  その上で「できるだけ早く日本からゴーサインが出るよう願う。実現したら協力できることがある」と述べた。トーマス博士も「ゴーサインが出ることはわれわれにとっても同じ目標。そうすれば具体的に動き出せる」と期待を込めた。

  同行した県の佐々木淳理事兼科学ILC推進室長は「2人は今回初めて触れる技術も多かったと思う。本県がこうした技術をしっかり持っていること、関連産業へのポテンシャルを感じてもらえればと考え、視察先に選んだ」と語った。

  盛岡市内のホテルでは、建設候補地北上サイトのある一関市、奥州市、研究者らの受け入れ先にもなる盛岡市、県ILC推進協議会関係者も出席して意見交換が行われた。

  クラウス博士は「欧州の加速器関係者は日本で実現に向けた準備などの動きを分かっていない。もっと海外向けに幅広い情報発信が必要だ」と説いた。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします