盛岡タイムス Web News 2017年  6月  28日 (水)

       

■  臨時診療所を初開設 岩手山8合目に県山岳協会 7月1日など計5日間 中島隆之医師をチーフに


     
   
  「小まめな水分補給を」と話す中島さん
 

 県山岳協会(高橋時夫会長)は岩手山山開きの7月1日や国民の祝日「山の日」など計5日間、岩手山8合目避難小屋内に臨時診療所を開設する。岩手山に診療所が開かれるのは初めて。山岳協会会員で、山と医療の技術を持つボランティアの医師と看護師が待機。県内唯一の「国際山岳医」で、診療所のチーフを務める盛岡市永井の盛岡友愛病院副院長の中島隆之さん(55)は「岩手山では捻挫や熱中症で動けなくなる人もいる。登山人口が年々増える中、安全登山の啓発を図りながら万が一の場合にも備えたい」と話している。

  診療所は、7月1日と2日、山の日前後の8月10日から12日まで開設。花巻市山岳協会会員の女性看護師3人が交代で待機し、登山者の健康状態を確認するため見回りも予定。AED(自動体外式除細動器)なども持ち緊急の状況に備える。

  中島さんによると、東北の山々は2000b級の山が多く、富士山のような3000b級の山で心配される「急性高山病」の可能性は低い。

  中島さんが最も心配するのは熱中症。「八合目避難小屋には水があるが、行くまでの予防が大事。体の水分は1時間に体重×5_gなくなる。体重60`であれば300_gが必要。小まめな水分補給が大切になる」と注意を促す。

  また、山は152b登ると気温が1度低下。標高2038bの岩手山頂上では、海抜高度約155bの盛岡市に比べて約12度低くなる。「低体温症になる可能性は低いが、荒天で雨にぬれれば体は冷える。夏山でも防寒対策は必要」と話す。

     
  診療所を開設する八合目避難小屋(2015年7月撮影)  
  診療所を開設する八合目避難小屋(2015年7月撮影)
 

  中島さんはかつて、岩手医大山岳部に所属。医師の仕事に就いてからは山を離れていたが、8年前から再開。仕事の合間を縫い、日本百名山のうち55の山に登頂した。

  豊富な登山経験と医師のキャリアがある中島さんは、2016年に国際山岳医の資格を取った。きっかけは、県山岳協会で帯同した高校生の大会。「自身の経験だけではなく、体系化された知識が必要だと思った」と語る。

  検定では医療技術の座学の他、冬山と夏山での山岳技術実技が必須。「海外で想定される山岳医は、ヘリなどで要救助者の場所まで移動し、救助後は一人で下山する。山岳ガイドと同じ知識と技術が求められる」とレベルの高さを痛感。改めて道具の扱いを学び直し、見事に合格した。

  中島さんは「山の上に医者がいることで、安心感を与えられると思う。登る人は、熱中症予防として1時間に一度は水分を取ってほしい。登山事故が多いのは下りの道。体力に余裕を持たせて、十分に気を付けてほしい」と楽しい登山を願っている。


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