盛岡タイムス Web News   2017年 10月  7日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 山下浩平 「ロス」に得がたい収穫



 紫波町の一部の地域、人の間で一時「インターン(シップ)ロス」という言葉がはやった。いわゆる「あまちゃんロス」などと同様の意味だ。学生インターンを受け入れていた町内酒造会社の蔵元が使い始めたところから、インターンのコーディネーターや学生など関係者に広まったとみられる。記者も一度、流れに乗って使った。

  8月中旬から9月末まで、NPO法人wiz企画の実践型インターンシップが県内各地で行われた。単なる企業の説明会や作業体験などの軽い内容ではない。新事業へつながる先駆けの取り組みや看板イベントの運営など、プロジェクト遂行を使命とし、40日超にわたり各企業で業務に従事する。これが、同法人が全国の学生と県内企業のマッチングを通して行う、インターン事業の特徴だ。

  長期にわたり企業が抱える課題解決、新事業の展開に向けた取り組みを行うことが、インターン先の企業、市町村への愛着を育むことにつながっているようだ。日本酒が好きで酒造店を選び、冬にはインターンとは関係なく醸造作業に行くことが決まっている学生、紫波町、岩手に帰ってくると言ってくれる学生。インターンを終えた学生たちのおのおののSNSでは、数千文字にわたりインターンで得た経験や感じた紫波の魅力、触れ合った地元民への感謝がつづられている。

  町内のインターン受け入れ企業の一つ、廣田酒造店では、2年目となる蔵祭りを実施。昨年は100人に満たなかった来場者が、今年は200人を超えた。同法人のインターン事業は春にも行われているが、その際にはインターンの受け入れ先となっていた別の町内酒造店と盛岡市内のカフェの間で、学生が仲介役となり酒粕の定期的な販売が成立した。

  振り返ってみると、なるほど、インターン「ロス」という言葉が生まれるほど、学生や受け入れ企業は濃密な時間を過ごしたことが分かる。ただ、40日という長いようで短い期間の中で学生、企業ともに、失った物よりも得た物のほうが多いことは明らかだろう。


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