盛岡タイムス Web News   2017年 10月  28日 (土)

       

■ 県立大と川前高齢者支援連絡会 地域ぐるみで外出支援 ヤマト・スタッフ・サプライ 社会実験でサロンに送迎

     
  県立大のワゴン車に乗り合わせ、川前地区コミュニティセンターに到着した高齢者  
  県立大のワゴン車に乗り合わせ、川前地区コミュニティセンターに到着した高齢者
 


 県立大社会福祉学部の小川晃子教授と滝沢市巣子の川前地区高齢者支援連絡会(酒井和雄代表)は、足腰が弱ったり、運転ができなくなったりした高齢者の外出を地域で支援する社会実験を始めた。利用していない時間帯がある県立大ボランティアセンター所有の9人乗りワゴン車(災害復旧支援事務局車両)を活用。市の委託を受け、川前自治会が開催している「いきいきサロン茶話会」へ送迎し、社会参加を後押しする。ドライバーは高齢者支援事業を開発中のヤマト運輸子会社ヤマト・スタッフ・サプライが派遣。官民の地域資源を組み合わせ、年を重ねても安心して暮らせる交通支援の在り方を探る。

■送迎で6人がサロンに初参加

  「おはようございます」「お世話になります」。社会実験が始まった26日、県立大のワゴン車は、約1時間かけて川前地区を巡回。外出支援が必要な高齢者12人を自宅近くで迎え、いきいきサロンが開かれる川前地区コミュニティセンターへ向かった。サロンには他の高齢者も合わせ約30人が参加。民生児童委員のリードで介護予防体操などを楽しんだ後、手作りの天ぷらうどんを味わい、世間話に花を咲かせた。

 「足腰が痛くて思うように行ったり、来たりできない。息子も働きに出ていて日中は一人きり。いい気分転換になった」と中村一恵さん(78)。一人暮らしという千葉枝子さん(79)も「出掛ける機会が減ると、こういう場に出るのもおっくうになる。誘ってもらって良かった。ありがたい」と感謝する。車の送迎があったことで、この日は6人が初めてサロンに参加した。

  帰りも同じワゴン車で自宅近くまで送り、希望があれば、近くの産直や銀行のATMにも寄る。年末まで4回、サロン茶話会への送迎を実施し、効果と課題を検証する。

  川前自治会の川村尚雄会長(74)は「いつもより大勢の人が集まってくれた。実証実験を経て、効果が確認できれば、継続する方法を検討していかなければならない。予算の捻出が最大の課題」と話した。

■高齢者支える仕組みづくり

  川前地区は約2300世帯。県立大の開学で学生は増えたが、高齢の夫婦二人世帯や独居老人が目立つ。小川教授が同地区で独居高齢者の安否確認システムの研究を推進したのをきっかけに5年ほど前、自治会役員や民生児童委員、地域の介護事業者らが参加し川前地区高齢者支援連絡会が発足。話し合いの中で、運転ができなくなった高齢者の外出支援が課題になっていた。

  隣近所で自家用車に乗り合わせるなど、送迎を助け合いでカバーしてきた部分もあるが、高齢者は遠慮しがち。万が一、事故が発生した場合の対応も難しい。そこで、利用に空きがあった県立大のワゴン車を活用。研究費で費用負担し、ヤマト・スタッフ・サプライからプロのドライバーを派遣してもらった。

  同社は、宅配便のドライバーOBを生かし、介護事業所や病院の送迎車の運転、車両管理を請け負うサービスを展開中。これまでも高齢者の買い物支援や見守りをする「まごころ宅急便」などに取り組んでいる。盛岡営業所事業推進部の松本まゆみマネージャーは「高齢者の買い物や通院を地域で支援する仕組みを応援したい。経験豊富なドライバーが再び活躍でき、地域のためにもなるのであれば一石二鳥」と関心を寄せ、地域貢献型のビジネスモデルになることを期待する。

  小川教授は「高齢者の免許返上も推進されており、外出が難しくなる人はどんどん増えていく。地域の資源を上手に生かし、助け合いに当てはめていくことが必要」と指摘。「日常的なつながりを持ち、皆で知恵を出し合える態勢が大切」と力を込め、接続可能性を探る。


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