盛岡タイムス Web News   2017年 11月  10日 (金)

       

■  暮らしの保健室せんぼく 悩み解決ドアを開け 盛岡市仙北町駅前にオープン 内科医の松嶋大さんら


     
   カフェ「ことのはきっちん」に集う医師の松嶋大さん(左前)、保健室長の及川裕香さん(右前)らスタッフ。写真奥が暮らしの保健室せんぼくのオープンスペース  
   カフェ「ことのはきっちん」に集う医師の松嶋大さん(左前)、保健室長の及川裕香さん(右前)らスタッフ。写真奥が暮らしの保健室せんぼくのオープンスペース  

 病気や障害の有無にかかわらず、誰でも気軽に立ち寄れる「暮らしの保健室せんぼく」が先月、盛岡市仙北2丁目のJR仙北町駅前にオープンした。保健室のスペースを囲むように、認知症ケアや訪問診療に対応する診療所、薬局、健康志向のカフェなどがあり、悩みがあれば、専門職による相談にも応じてもらえる。高齢化が進み、体調不良や家族の介護などで不安を抱えている人が少なくない。医療や福祉に関わる多職種のネットワークを生かし、解決の糸口を提供する。

  同保健室を運営しているのは、先月まで、盛岡市向中野5丁目で「ものがたり診療所もりおか」を開設していた内科医の松嶋大さん(42)とそのスタッフら。コンセプトは「屋根のある公園」。地域の人が気軽に出入りし、くつろげる居心地のいい空間を目指している。

  保健室はマンションの1階を利用したオープンスペース。壁に沿って自由に閲覧できる本が並び、駄菓子や本の販売コーナー、趣味の展示などに利用できる畳敷きのスペースもある。隣接して松嶋さんの「なないろのとびら診療所」(診療は予約制)、こだわりの無農薬コーヒーや健康ドリンクが味わえるカフェ「ことのはきっちん」、「あまいろ薬局」、メディカルフットケアの「『爪切り屋』ときいろ☆ねいる」などがあり、自由に行き来できる。

  松嶋さんによると、診療所やカフェは公園の遊具のようなもので、主役はあくまで保健室。悩みを抱えた人に対しては、ニーズによって看護師や介護福祉士、社会福祉士、保育士、薬剤師、作業療法士、言語聴覚士など専門資格を持つスタッフが関わり、一緒に解決の道を探る。相談は無料。

  松嶋さんは、岩手医科大を卒業後、自治医科大地域医療学教室に入局。新潟、岩手、沖縄で地域医療に従事した後、自治医科大大学院で博士号を取得した。一関市の国保藤沢病院内科長、盛岡市の中津川病院長を経て、2015年から先月まで、ものがたり診療所もりおかを開設。認知症ケアをはじめ、加齢や末期がんなどで自宅療養する患者の訪問診療に取り組む中で、地域に開かれた常設の「保健室」の構想を温めてきた。

  「りっぱな施設でも、患者やその家族が周りの地域と全く接点がなく、隔絶された環境に置かれていることが少なくない。最期まで自分らしく生きていくためには、人と人とがつながる場、地域との接点、縁が保てる場が必要」と松嶋さん。年を重ねても、病や障害があっても、ふらりと立ち寄って心地良い時間を過ごせる場を作りたかったという。

  保健室長として活動をコーディネートする及川裕香さん(27)は「どこへ、何を相談したらいいのかも分からず、悶々(もんもん)と悩んでいる人が少なくない。地域とつながり、一歩を踏み出すための扉の役割を果たしたい」と意欲を語った。

  暮らしの保健室せんぼくの開放時間は平日の午後1時から午後4時まで。保健室の活動は、みたけ保健室(盛岡市みたけ3丁目22の53、ことのは医療研究所内、平日午前10時から午後4時まで)をはじめ、八幡平、花巻、宮古などでも展開している。詳しくは及川さん(電話070―2018―1007)へ。

     
   暮らしの保健室せんぼくで開かれたメディカルフットケアのワークショップ(4日)  
   暮らしの保健室せんぼくで開かれたメディカルフットケアのワークショップ(4日)  


■保健室のスペースを無料貸し出し

  暮らしの保健室せんぼくのスペースは無料で地域のイベントなどに貸し出す。公園の一画で活動しているようなイメージで、訪れた人が自由に参加、見学できるイベントであることが条件。4日は、メディカルフットケアの普及に取り組む、生きがいづくり研究所(折笠無我所長、盛岡市)によるワークショップが開かれた。

  高齢になっても自分の足でしっかり歩き、トイレなど日常の動作をこなすためには、身体の土台となる足を健康に保つことが大切。特に足の爪の正しい手入れが足の健康に大きく関わっていることが近年、注目され、専門知識を身に付けたフットケアワーカーが介護現場などで活躍し始めている。この日は、子どもから大人まで14人が参加。足の指や爪の役割を学んだ後、二人一組になって足洗を体験した。

  「足元からの健康を考えるきっかけになれば」と折笠所長。「こうしたスペースを提供してもらえるのは、ありがたい」と話した。

  イベント会場として利用可能時間は午後1時半から午後8時まで。土曜日は午前10時から午後8時まで(ただし午前11時半から午後2時半を除く)、日祝日は要相談。


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