盛岡タイムス Web News   2017年 11月  18日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 戸塚航祐 AIは農業の夢を見るのか


 IT技術を農業分野に活用した「スマート農業」が世界中から注目を浴びている。10月24日に八幡平市で行われた「スマートファームプロジェクト」のハーブの初出荷式で、販売会社の社長は「世界規模の巨大市場になる可能性が高い。10月に千葉県で行われた見本市『国際次世代農業EXPO』では、新たなビジネスモデルとして参入する企業が多くいた」と熱い視線を向けた。

  農業分野へのIT技術導入は、農業への参入障壁を下げることが本質だと言われる。従来の農業では、年単位で農家に蓄積された知識が農作物の出来栄えに影響する。しかし、IT技術を導入は栽培データの収集によるデータベース化と、その解析によるビッグデータ化を可能とする。さらに、人工知能(AI)を活用すれば、数値化したデータから最適な栽培方法を算出。極論すれば、人間が行うのは収穫だけとすることも将来的に可能だとされる。

  IT技術が他分野で導入される中、記者はフィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」にならい、「AIは農家の夢を見るのだろうか」と自問してしまう。

  農業とAIの組み合わせは、意外なほど親和性が高い。2010年代のAIは、選択肢が限られた状況下でその性能を発揮する。人間のように物を認識するには、考えられるあらゆる選択肢をプログラムする必要がある。しかし、活用が想定されるハウス栽培では室内に限定するため、想定される状況も限定。十分に性能を発揮できる。

  ただ、十分な性能と技術で人間と同じ農作物が育てられるかは分からない。人間との違いが分からなくなるほど精巧なAIが開発されれば、人間の手による農作物と同じものが作れるかもしれない。

  だから自問する。果たしてAIは、農家が見る夢と同じ夢を見るのだろうか。もしも見るのならば、農作物をAIが育てたのか人間が育てたのか分からなくなる日も近いのかもしれない。


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