盛岡タイムス Web News   2017年 11月  24日 (金)

       

■  岩大と県大で選挙意識調査 政治への距離感広がる 齋藤県立大教授ら 制度見直し時期か 投票行く36・7%


     
   意識調査の結果について解説する齋藤教授  
   意識調査の結果について解説する齋藤教授
 

 県立大総合政策学部の齋藤俊明教授(政治学)らは、岩手大と県立大の学生対象の選挙に関する意識調査の結果を公表した。10月22日投開票の第48回衆院選前の調査で約80%が政治に「関心がある」と回答。これに対し「投票に行く」と答えたのは36・7%にとどまり「投票しない」13・5%、「わからない」49・8%だった。「支持政党なし」が85・5%と有権者全体の傾向より多く、半数以上で国政への満足度が低かった。若者の政治や選挙との乖離(かいり)、選挙そのものの制度疲労が改めて浮き彫りになった。

  ■国政の不満上回る

  調査は10月第1週に県立大、岩大それぞれの政治学系科目を受講する学生計207人(男121人、女86人)を対象に、206人から回答を得た。
回答者の年齢は主に18、19歳で、20歳も一部いた。県内出身が135人、県外が71人。住民票は県内外とも実家のある自治体が166人、進学に伴い現在居住する自治体が39人いて、小選挙区の投票先を離れて暮らしている実態が顕著だ。

  その結果、有権者の投票を通じ、政治や行政にどの程度影響を及ぼすかについては「非常に大きな影響」14・5%、「かなり影響」43・0%、「少しは影響」39・1%を合わせると96%に達する。選挙への関心を上回る高い反応だった。

  一方、今の国政に満足しているか問うと「大いに満足」と「ある程度満足」が46・9%に対し、「あまり満足してない」と「全く満足してない」が53・1%で上回った。

  20歳代の投票率が他の年代に比べて著しく低い原因を11項目から複数回答で尋ねると、「政治や選挙に興味関心を持っていない」を選ぶのが最多だった。次いで「候補者や政策がよく分からないから」と「自分一人が投票しなくても同じ」が並んだ。

  齋藤教授は20日に会見して結果を解説。「ここ十数年の調査を通じ、政治や選挙に意識のある人とない人が二極化し、ない人の方が増えている。大学生活が国政課題や問題に直結していないことも要因だ」と指摘した。

  若年層の投票率は戦後間もなく行われた総選挙でそれなりに高かったが、それ以降、低下しているという。

  ■制度考え直す時期

  投票への考え方に関する質問では「投票は国民の権利で棄権すべきでない」55・1%、「する・しないは個人の自由」32・4%、「国民の義務」11・6%の順だった。

  期日前投票については、聞いたことがあり「実際に投票した」12・1%と「投票方法を知っている」24・15%に対し、「聞いたことはあるが投票方法は知らない」が62・80%に上った。

  選挙年齢が18歳に引き下げられて初めて行われた2016年の参院選直後の同様の調査と比べ、投票方法を知らない回答者の割合が約14ポイント上昇した。回答者のうち投票経験があるのは47・3%と半数近くあった。

  居住地に住民票のない回答者が多いのを踏まえ、ICTなどを活用した投票行動をしやすい環境整備の必要性を齋藤教授は唱える。同時に主権者教育など啓発事業も工夫が求められると主張。取り組まなければ「物理的な政治や選挙への距離感が意識の距離にもつながる」と説いた。

  「死票が既に5〜6割ある状況が続き、国民の総意と言えるのか。(選挙制度を)改めて考え直す時期に来ているのではないか」、「政党が若い有権者に今後どう対応しようとし、過去してきたか。党員数が減り、60〜80歳代が支持基盤である中、若い世代がどれだけ支持するかが党存続に関わる」とも述べた。

  その上で政党による政治教育をはじめ、議員・議会活動を通じて関心喚起を狙ったワークショップの開催なども提案した。


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