盛岡タイムス Web News   2017年 11月  25日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 泉山圭 こだわりの道具


 さまざまな仕事、ものづくりに欠かせない道具。良い仕事をするためには、道具にもこだわりが生まれる。先日、現代の名工に選ばれた機械時計組み立て・調整工の齋藤勝雄さんを取材した。厚さが1・98_の超極薄機械式時計の組み立てでは、100分の1_単位での調整が必要となる。その技術を支えるのは、数々の道具類。齋藤さんは「自分の分身」と話す。

  ピンセットが悪ければ、部品が飛び、挟んだときに傷が付く。ドライバーも溝の深さがうまく合わなければ滑って部品に傷を付ける。そのため常に道具の手入れは怠らない。長年掛けて少しずつ加工を施しながら自分の手に合った道具を作り上げていくため「人には絶対に貸さない。それぞれの時計士のピンセットやドライバーが自分に使いやすいとは限らない」と言う。

  取材をしているとさまざまな道具に出会う。雫石町の木杓子(じゃくし)作り体験を取材した際には、ホオノキの杓子を削る際に用いるかんなの種類に驚いた。内側を丸く削るために包丁の刃を半円形にしたような形の「舞かんな」の他、削る箇所に応じて縁かんな、背中かんな、柄かんな、頭かんななど多種多様なかんなを用いていた。

  滝沢市で行われた南部曲がり家のかやぶき作業でも、地域の人たちが持ち寄った昔から伝わる道具類が活躍していた。新しいカヤを屋根に乗せて固定するのには、室内と屋根にわらのひもを通す「はり」、屋根の隙間を埋めるには新しいカヤを差し込むために古いカヤを持ち上げる「へら」、軒先をきれいに整えるにはカヤの先端をたたく「さって」と、作業工程によって使用する道具が次々と登場した。

  新聞記者にとっての道具を考えると、カメラ、ペン、ノート、ICレコーダーなどだろうか。私の場合、取材先でカメラのデータを記録するSDカードが入っておらずに焦ったり、ICレコーダーの電池残量が点滅したり。良い仕事をするには、常に道具の手入れは怠らないようにしなければ。
 


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