盛岡タイムス Web News   2017年  12月  4日 (月)

       

■  県勢3部門で文科大臣賞 第32回全国高校文芸コンクール 盛岡三は部誌と小説ダブルで


     
   「自分にしか詠めない短歌を作りたかった。賞の大きさに驚いたが、とてもうれしい」と喜ぶ牛越凜さん(盛岡二2年)  
   「自分にしか詠めない短歌を作りたかった。賞の大きさに驚いたが、とてもうれしい」と喜ぶ牛越凜さん(盛岡二2年)
 

 第32回全国高校文芸コンクールの審査結果が発表された。県勢は、小説部門で盛岡三の佐藤風花さん(3年)の「音よ、はじけろ」、文芸部誌部門で盛岡三文芸部の「黎 第十七号」、短歌部門では盛岡二の牛越凜さん(2年)の「神鳴りが」が最優秀賞(文部科学大臣賞)に輝いた。同コンクールには小説、文芸評論、随筆(エッセー)、詩、短歌、俳句、文芸部誌の7部門に、各都道府県で選抜された作品など計6795作品の応募があった。表彰式は16日に東京都の国立オリンピック記念青少年総合センターで行われる。

  「神鳴り(かみなり)が姫神山へ消えてゆく目を閉じ吸い込むペトリコールを」。短歌部門で最優秀賞・文部科学大臣賞を受賞した牛越凜さん(盛岡二2年)は、高校生活の日常の一こま、心奪われた一瞬の光景を、三十一文字で生き生きと立ち上げた。

  「盛岡に暮らし、今、見ている風景の中で、自分にしか詠めない短歌を作りたい」と感性を磨き、心に言葉をストックしてきた牛越さん。短歌最高賞の知らせを受け、「全国コンクールに出されていたことに驚き、さらに、この賞に驚いた。夢なんじゃないかと思ったが、今はとてもうれしい」と、笑みを浮かべる。

  「ペトリコール」は、雨が降った後に地面から上がってくる匂いを意味する単語。今夏の初め、学校からの帰り道で強い雨に降られ、黒い雷雲が山の方へ消えていく情景を目にした。心に残ったのは、雨上がりの匂いと周りの景色。そして、以前から好きだった「ペトリコール」の言葉だった。

  姫神山がはっきりと見えたわけではない。初句の「神鳴りが」との響き合いが面白く、
実体験を具体的に詠むことで「より、自分らしい歌に」とこだわった。

  盛岡市出身。高校に入るまで創作の経験はほとんどなかったが、中学3年生の時、盛岡二高の一日体験入学で文学研究部を見学。全国高校生短歌大会(短歌甲子園)に出場経験のある先輩部員に「読むのが好きなら書けるよ」と声を掛けられ、気持ちが動いた。

  入部時は小説志向。1年時から短歌も作り始めたが、「ダメダメな歌しか作れなかった」。他の部員に比べて短歌を読む量が少ないと感じ、インターネットやツイッターで好きな短歌を探す中、歌人の岡野大嗣さんのファンになった。

  盛岡市出身の詩人・歌人の石川啄木、盛岡二高の先輩にあたる歌人の大西民子は「尊敬というのも恐れ多いほど」という大きな存在だが、「今、この瞬間に生まれている短歌も知りたい」。

  SNSでの短文のやり取りで、言葉にもより敏感になった。「友人にスマートフォンでメッセージを送る時も、お互いの表情が見えない分、言葉の選び方が慎重になった」。どのような言葉を使えば、自分の思いをうまく相手に伝えられるか、語順はどうか。一つ一つの言葉への感受性が、牛越さんらしい「ペトリコール」の一首になった。

   ◇  ◇   

  その他の入賞者は次の通り。(盛岡地域、敬称略、数字は学年)

  【小説】優良賞・太田彩季(盛岡三2)

  【詩】優良賞・佐々木ほのか(盛岡四3)太田彩季(盛岡三2)相田美咲(盛岡四3)
    ▽入選・吉田悠乃(盛岡三3)大志田愛理(同2)

  【短歌】優秀賞・日下凌我(盛岡工3)冨田百香(盛岡一3)
    ▽入選・菊池絢子(盛岡三2)

  【文芸部誌】優秀賞(一ツ橋文芸教育振興会賞)・盛岡四


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