盛岡タイムス Web News   2018年  1月  18日 (木)

       

■  芥川賞 岩手ゆかり連続の快挙 沼田真佑さんと若竹千佐子さん 直木賞は賢治題材の門井さん


     
   今年度の芥川賞の若竹さん、直木賞の門井さん、芥川賞の沼田さんの作品(左から)  
   今年度の芥川賞の若竹さん、直木賞の門井さん、芥川賞の沼田さんの作品(左から)
 

 第158回芥川賞が16日決まり、2017年度は上下半期とも県人作家が受賞した。上半期は盛岡市の沼田真佑さん(39)、下半期は遠野市出身の若竹千佐子さん(63)が受賞の快挙。下半期の直木賞には群馬県出身の門井慶喜さん(46)の「銀河鉄道の父」(講談社)が、賢治親子を題材にして選ばれた。今年度は本県ゆかりの小説が3作も。岩手の文学に記念すべき年となった。若竹さんは受賞会見で、「人生の終盤にこんな晴れがましいことが私に起こるなんて信じられない」と話し、遅咲きの大輪を咲かせた。

  若竹さんは千葉県木更津市在住。「おらおらでひとりいぐも」(河出書房新社)が今回、石井遊佳さんの「百年泥」とともに芥川賞に輝いた。

  若竹さんは岩手大教育学部卒。主婦の傍ら55歳から小説講座に通い、8年がかりで同作を執筆した。昨年は第54回文藝賞を最年長で受賞し、今回ノミネートされた。

  16日の受賞会見では、「63歳だが、これから私は老いていくので、それと同時進行で書いていきたい」と話した。学生時代から夢見た文学。「今読めば恥ずかしい作品を学生の頃、書いていたが、皆さんに出して恥ずかしくないようになったのは、小説講座に入ってから」と話し、周囲に感謝した。

  作品は東北地方出身のお年寄りが夫の死後、新たな自我に目覚めるさまを描いた。岩手弁がリズミカル。タイトルは賢治の詩から取った。「方言は私にとって一番、自分に正直な言葉」と話し、愛郷心をのぞかせた。

  「方言は東北に限らずどこの言葉も味があり、九州も大阪も生きてきた人たちの味わいがあって大好き。東北人としての誇り、喜びもある。震災で大変な目に遭っているので、私なりに自分も含めて頑張りたい」などと話し、広くメッセージを発した。

  岩手大卒業生の芥川賞は初めて。若竹さんの後輩で、川崎市在住の画家の三浦千波さん(62)は同学部だった。「在学時に直接お話をしたことはないが、姿はお見かけしていた。そのゆったりした雰囲気から、つむぐような言葉が小説に至ったのではないか。岩手の風土から立ち上がったもの、本物を大切にしたい思いは文学も美術も同じ」と話し、県人として共感した。

  本県からは森荘已池氏から高橋克彦氏まで、直木賞は5人出ていたが、芥川賞は今年度の沼田さんが「影裏」(文藝春秋)で初受賞。若竹さんと2回連続で射止めた。

  同大教育学部名誉教授の望月善次氏は、「沼田さんに続いての若竹さんの受賞を喜びたい。この快挙はご本人たちの奮闘が基盤にあるわけであるが、この奮闘は岩手の自然、文芸的風土の豊かさを示唆するものであることがありがたい。お二人の一層の活躍を祈りたい」と、本県文学史の上から祝福した。



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