盛岡タイムス Web News   2018年   3月  4日 (日)

       

■ 盛岡市の菊月圭吾さん(岩手医大客員教授) 法歯学に刻んだ教訓 震災で歯形から身元、家族へ 17日市民講座

     
  東日本大震災での身元確認業務の経験をもとに講演する、菊月圭吾岩手医大客員教授  
   東日本大震災での身元確認業務の経験をもとに講演する、菊月圭吾岩手医大客員教授
 


  「家族のもとへ、あなたを帰す〜3・11東日本大震災 歯科からの身元確認〜」と題した市民講座が17日午後4時半から同6時まで、盛岡市大沢川原のNPO善隣館で開かれる。盛岡市の菊月歯科医院院長で、岩手医大法科学講座法歯学・災害口腔医学分野客員教授を務める菊月圭吾さん(63)が講演する。

  菊月さんは県歯科医師会の元常務理事で、警察の身元確認作業に協力する「警察歯科」を担当。東日本大震災の発生時は、身元確認業務のリーダーとして大学や県警と連携して活動した。

  東日本大震災で、県歯科医師会は犠牲者約2700人分の歯科所見を作成。このうち身元が分からない約1300人の歯科所見と、カルテなど約750人分の生前記録とを照合した。手作業であれば約100万回の照合作業が必要になる計算だが、コンピューターを使った「36検索」を開発。犬歯と第1大臼歯という大きくて死後も抜けにくい上下左右の8本の有無などで候補者を絞り込み、約120人の身元特定につなげた。

  犠牲者の歯科所見を作っても、カルテなど生前記録がなければ照合はできない。震災では多くの歯科医院が津波やその後の火災で、カルテを消失。さらに、個人情報の取り扱いの問題から自治体が行方不明者名簿をなかなか公表せず、生前記録の収集が難航した。今後も起こり得る災害や大事故に備え、災害に対応できる保管庫やクラウドの活用など生前歯科情報の保存とデータベース化の重要性を説く。

  震災から間もなく7年。発見された東日本大震災の犠牲者の99%は身元が判明したが、いまだ身元判明に至らない遺体もある。「なぜ、身元が判明していないのか。事実を知ることも、今できる支援の一つ」と力を込める。

  参加費はお茶代500円。問い合わせ、参加申し込みはNPO善隣館(電話019−654−1988)。予約なしの当日参加も可。


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