盛岡タイムス Web News   2018年   3月  13日 (火)

       

■  小川未明文学賞で大賞 遠野に紡ぐ児童文学 盛岡市のちばるりこさん 「供養絵―心寄り添い人」で


     
   小川未明文学賞の大賞を受賞し「所属する会の人たちが喜んでくれているのがうれしい」と話すちばるりこさん  
   小川未明文学賞の大賞を受賞し「所属する会の人たちが喜んでくれているのがうれしい」と話すちばるりこさん
 

 盛岡市のちばるりこ(本名・千葉留里子)さん(60)=岩手大附属特別支援学校非常勤講師=の児童文学作品「供養絵―心寄り添い人―」が第26回小川未明文学賞(新潟県上越市、同実行委主催)で大賞を受賞した。同賞は、上越市出身で「日本のアンデルセン」と呼ばれた児童文学作家・小川未明(1882〜1961)の文学精神を継承し、新しい時代にふさわしい作品を輩出しようと1992年から続いている。ちばさんは「児童文学を志す者として憧れの賞。難しいと思っていたが、知らせを受けたときはうれしかった」と笑顔を見せる。

  受賞作には、遠野市の寺に多数奉納されている「供養絵」が登場する。幼いころに母を亡くした中学3年の紗理奈は、絵のうまさに理由なき陰口をたたかれて以来、母を描いて自分を慰めていた。あるとき、母の実家のある遠野の寺で供養絵を見て衝撃を受ける。紗理奈は自分も知らずに母の供養絵を描いていたことに気付き、また母も供養絵を描いていたと知り、人の心に寄り添う絵師になりたいと心に決める。郷土の文化と「遠野物語」を背景に、少女の内面の変化を丁寧に描いた点が評価された。受賞作は今後、学研プラスから出版予定。

  供養絵は、故人の供養のために遺族が絵師に描かせた絵。ちばさんは夫(63)の転勤で遠野市に住んでいた際、博物館や寺院などを見て回った。供養絵の実物を見て、いつか物語のテーマにしたいと考えたという。「こういう幸せを味わわせてやりたかったという、遺族の思いが絵になっている。作中では、供養絵を見たときの少女の心の感動を大事だなと思って書いた」と振り返る。

  供養絵をテーマにした作品は大人向けに書くことも考えたが、子どもも大人も読めるものを目指した。「児童文学は簡単に易しく書けばいいというものではなく、本気で子どもの心に向き合い、人間に向き合って書きたいと思う。大人が読んでも面白いものになるよう、常々考えて書いている」とちばさん。

  以前は県立高校の教諭として教壇に立ち、現在は特別支援学校で高等部の生徒に教える。「子どもたちはきらめく言葉の宝庫。向き合うことで得ているものが多い」とほほ笑む。

  岩手児童文学の会会員。東京都で月1回合評会を開く同人誌「ふろむ」の同人でもあり、およそ3カ月に1回上京して参加する。創作の上では、仲間の存在も大きな励みになっているという。

  「岩手児童文学の会は若手の意欲を持った会員が増え、ますます活性化している。どちらの会も実力のある方が多い。これからも切磋琢磨(せっさたくま)して、皆さんで高め合っていけたら」と語った。


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