盛岡タイムス Web News   2018年   3月  24日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 佐々木貴大 甲子園の季節に思う


 今年の春の甲子園(センバツ)は23日、開幕した。「球児は甲子園を経験すると成長する」というのはよく聞く話だが、記者としての自分にとっても甲子園は取材に行くたびに成長できる不思議な場所だ。実際に、これまでに甲子園取材で得た経験は自分がこの仕事を続ける上での自信になっている。

  中でも、自分が初めて甲子園で取材をした2010年のセンバツは印象深い。卵の殻を頭に乗せたままの新米記者だった自分にとって、初の甲子園での数日はまさに「甲子園の魔物」にもてあそばれた日々だった。

  試合当日は甲子園球場の入り口が分からず、ようやく見つけた応援団を見失わないよう必死に追いかけた。アルプススタンドでの応援の様子を紹介するだけの取材だったが、いつ、どこで、誰に、何を聞いたらいいのか分からず右往左往。ボロボロになりながら取材を終えた。

  甲子園の魔物は記者も襲うのか、という疑問はさておき、あれから8年。甲子園球場の中で迷子にならないよう人の後ろをくっついて歩き、煙たがられた新米記者も三十路に乗った。甲子園での失態を思い返しては生まれる「あの時よりは大丈夫」という根拠のない自信が自らを支え、ここまで連れてきてくれた。

  あとは「初甲子園の時より失敗を続けることも、怖いこともない」という開き直りもいい方向に作用している。もちろん記事は入念に下調べと取材をして書くが、それ以外のことに関しては考えすぎてもしょうがないというスタンス。こうして文字に起こすと、わが事ながら怖いもの知らずとは恐ろしい。

  今回のセンバツでは盛岡地域からの出場がないため、現地での取材は見送りとなった。それでも、またあの地を訪れた際には、何か自らの成長の糧を見つけたいと思う。ただし、食べ過ぎて横に成長することは何とか阻止したい。
 


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