盛岡タイムス Web News   2018年   4月  25日 (水)

       

■  野生生物の生態調査に 高性能赤外線カメラ搭載 夜間飛行対応のドローン 農作物被害防止へ活用も スカイシーカー


     
  五葉山で撮影したニホンジカ(スカイシーカー提供)  
  五葉山で撮影したニホンジカ(スカイシーカー提供)
 

 東京都のスカイシーカー(佐々木政聡社長、資本金9750万円)は今年、高性能赤外線カメラのドローンを使った野生動物の生態調査に乗り出した。夜間にドローンを山岳に飛行させ、シカやイノシシなどの正確な生態数、生息域などを調べる。農水省の支援事業として農作物への被害対策、水産物の密漁、浄水施設の警備などに活用する計画だ。農水省によると、県内農作物の獣類被害額は2016年度で約3億2400万円。同社のドローンが救世主になるかもしれない。

  同社は2015年に創業。世界シェア7割のDJI社製ドローンを専売し、自治体などと連携してドローンを活用した操縦講座、調査事業などを展開している。

  野生鳥獣生息調査事業は、16年4月に開始。それまで、夜間や危険箇所での調査は行えず、農作物を荒らす夜行性のニホンジカ、イノシシの正確な生息情報を把握できない状況にあった。

  そこで同社は、高性能な赤外線カメラを搭載したドローンをDJI社と共同開発。シカ、イノシシ、人、岩などを分類して識別し、個体数を自動計算するシステムを作り、風雨でも日没から朝方まで、はっきりと個体を撮影できる赤外線カメラを搭載した。

  野生動物の捕獲駆除に役立つと、同年8月には農水省の革新的技術開発・緊急展開事業に採択され、麻布大獣医学部と連携して、大船渡市の五葉山など全国の山岳で実験を進めてきた。個体の識別精度を確立させ、今年から本格事業として開始。実施場所を検討している。

  佐々木社長(48)は「調査時間の短縮、人的コストの低減はもちろん、獣類被害で生産を断念する農家を減らせる。手放され、放置される耕作地が減ることも獣害対策につながるからだ」と語る。

     
  露地栽培の農産物への肥料・農薬散布実験  
 
露地栽培の農産物への肥料・農薬散布実験
 


  このシステムは山岳や海での捜索、救助に活用できると消防・警察・自衛隊と共同の飛行訓練も進行中。膨大な警備費が必要なウニやアワビ、伊勢エビなどの密漁対策、ダムの水源管理などにも用いられる計画だ。

  17年からは、千葉県香取市でドローンを使用した露地栽培の野菜果物の生育調査、肥料・農薬散布の実験を開始。畑に行かずに生育状態をドローンで管理し、市場の動向を見ながら計画的に収穫、出荷する管理農業≠目指し、ドローンを使用できる品種を調査中だ。岩手銀行などで組成する「岩手新事業創造ファンド」から3月に受けた投資で同事業を加速させる考え。

  6月には、ドローンを使ったリンゴの農薬散布の実験を一関市で実施し、農水省や県、市町村関係者などを視察に招く。

  佐々木社長は「今期の売上高は2億円。公的機関や民間企業と共同した講習、調査事業をさらに伸ばし、5年後は30億円を目指す」と展望した。


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